ニコニコ超会議出展

TRPG kilica 2015/4/26

ニコニコ超会議に出展してきました。30ブース募集ということで、まあ通らないだろうなあと思って申し込んでみたらあっさり通りました。そもそも応募サークルが30ちょっとだった模様。

前日はサークルでドミニオンと魔法の軍団を遊んでいたので、夜行バスで東京へ。JR東海バスの3列シートのを利用したのですが、前に利用したさくら観光バスと比べると、だいぶ落ちるような……。コンセント無いとか。

さて今回新刊を出す余裕はなかったので、既刊をひと通り持って行きました。全体的な売れ行きとしては、まあ大体予想したとおりで、交通費、送料、参加費など諸経費合わせてとんとんくらい。
ただ傾向として違っているんじゃないかな、という点はいくつか感じました。正しいかどうかは不明ですが、

  • コミケに比べると、参加者の年齢層が若いです。高校生とか、たくさんいるみたいで、小学生?というのもけっこう居ました。従いまして、たぶん1,000円の本は高いのかなあと。
  • クトゥルフ(ホラー)強い。「ジャンル違うんで」と買ってくれない方が >_<
  • リプレイもけっこう強いのではないでしょうか。
  • とはいえ、全部買ってくれる方もそこそこいて、コミケには参加されない方も当然たくさんいるんだろうなと。

さてたくさんの方が指摘しておりますが、運営は改善点が多々見受けられました。

  • ライブステージの真ん前にTRPGブースが位置していて、超うるさい。買ってくれる人にも、耳元で何度も怒鳴らないと聞こえないレベルです。ちょっとした雑談など不可能です。更にそんな中で体験ゲーム会があったり(こちらはマイクを使うとはいえ) トークショーが開かれるんですから、可哀想だなあと思います。
  • 各種案内が遅い。チケットが届くのもけっこう直前なので、現地集合の売り子さんに事前に郵送で送っておく、というのが結構際どい(って僕は一人でしたけど)。
  • いろいろ後手に回ってるんだろうなあとは思いますが、頒布物の事前チェックとして、頒布物のデータでの提出を求められました。まあ分からなくもありませんが、ちょっと躊躇しますね。にも関わらず、「誰がそれに触れるのか」「チェック後破棄されるのか」など、提出したデータの扱いについて何も説明がありません。

とまあ今年は初めての試みでしたし、来年は改善されているんじゃないかなあと期待しています。

markdown から InDesign へ

TRPG kilica 2015/2/7

markdown

開発者の間で最近はやりの文章のフォーマットといえば markdown です。wiki やはてな記法のようなもので、行頭に # をつけると見出し(h1)として扱われたり、*強調* のように、 * で文章を囲むと強調として扱われます。
キーボードを主体に使い慣れたテキストエディタでサクサク書くことができるので、開発者に好まれてるんだと思います。

フォーマット変換ツール pandoc

ふつうは、markdown 記法で書いたテキストを html に変換してブラウザで見るんですが、html にかぎらず様々な文書フォーマットに変換するツールがあります。

pandoc というツールもその一つで、Word, RTF, LaTeX, Epub など、様々なフォーマットに変換することができます。そしてその変換先フォーマットの一つに、InDesign の ICML も用意されています。ICML は InDesign で直接開くことはできませんが、InDesign のテキストフレームに「配置」することができます。

同人誌で長い文章を書かなければならない時など、

  • 動作の軽快なエディタを使って markdown で文章を書き、練る。
  • 文章が完成したら pandoc で InDesign のフォーマットに変換する
  • あるいは、Epub や html にも変換してネットでも配布する

といったワークフローが簡単にできるようになります。

markdown → InDesign の流れ

流れとしては、

  1. markdown(.md)形式で文章を書く。
  2. pandoc で md 形式を icml 形式に変換する。
  3. InDesign で流しこむ先のテキストフレームを用意する。
  4. icmlに変換したファイルをテキストフレームに ドラッグ&ドロップする。

となります。2. がほんのちょっと面倒で、ターミナル(黒い画面 ^ ^;;)からこんなかんじのコマンドを打たなければなりません。

pandoc input.md -s -o  output.icml

InDesign のスタイル

markdown

markdown を元に InDesign に配置すると、簡単なスタイルが付いた状態になっています。例えば、h2(##)を指定していた場合、InDesign では "Header2" という名前のスタイルが指定され、それっぽいフォントサイズやマージンが作られています。

InDesign

pandoc のインストール

pandoc は Windows, Mac, Linux で動作し、多くのソフトウェアと同じようにダウンロードしたファイルをマウスでクリックしていけば簡単にインストールできます。

ダウンロードページ

# "pandoc 1.13.2" など、バージョンの書かれたタイトルをクリックして移動した先のページの一番下にダウンロードリンクが付いていると思います。

なお、インストールしても pandoc の起動アイコンができたりはしません。pandoc を使うには、Mac なら Terminal, Windows ならコマンドプロンプトから markdown ファイルのあるディレクトリに移動して上記の pandoc コマンドを打ち込んでやります。

2015年の予定

TRPG kilica 2015/1/3

2015年はこんなことをやりたいな、というお話です。

同人誌

『TRPGシナリオ作成大全』 いよいよ Vol.5 が夏に出ます(いや、受かれば)。テーマは「馬場秀和のマスターリング講座」。 

順調に原稿が集まれば、 冬には Vol.6 を出します。集まらなければ延期。テーマは、特に決めない予定です。 

編集協力者は引き続き募集中ですので、興味がある方はご連絡ください。

一方、古い作品はそろそろ増刷をやめて電子書籍化しようかと思います(未定)。コミケではもう並べるスペースがないんだよね。 しかたない。

同人システム 

数年前から考えていたシステムを実装してみようかな、と考えています。 テーマはラノベにありそうな召喚ものです。出発点はぜんぜん違うんですが、表現は似たようなものに収斂しました。とりあえずは、サイコロ・フィクションベースで実装して見る予定。

かわいい精霊のイラストを描ける人とか背景設定を作れる人とか募集してます。 

TRPG 

いつも遊んでいる仲間が私事で忙しいため、低調になりそうです。 D&D5thも遊んでみたいなあ。 

trpg.me 

今年こそ、拡充したい(毎年言ってるけど) プロフィール機能を拡充するとか。 

開発 

BEAR.Sundayを使ってなにか作りたいなあ。 

自転車 

鈴鹿エンデューロは出たいなあ。 ビンディングペダル(とシューズ)をそろそろ買おうか迷っています。 

買い物 

Mac Book Air の新しいのが出たら考える。

C87(2014年冬) コミケ

TRPG kilica 2014/12/31

今回も冬コミサークル参加してまいりました。今回は12/29(月)なんだけど、二日目でちょっと変則的。官公庁もまだお休みではないし、お仕事という方もいらっしゃったかもしれません。また、雨が降ったり止んだりで、参加者が少なかった、という声もありますが、三日間の合計では冬コミ史上最高ということみたいですね。

売り子は、だいたい竹流さんと高橋さんにお願いしているのですが、竹流さんはインフルエンザで、高橋さんは今回実家に戻られているということで竹流さんの後輩のみっきぃーさんと大学の後輩のYさんにお願いしました。忙しいサークルなのですが、初めての割にてきぱきと動いてくれて大変助かりました。

新刊は『TRPGシナリオ作成大全 Vol.4』と『しぇいらコレクション 1, 2』。

Vol.4はだいたいいつもどおり、150部ほど売れました。500部刷ったのですが、あと300部はショップ委託で送ることになってますので、手元に残るのは50部ほど。夏コミ前に増刷しておく必要があるかな?

ちょっと意外だったのは、Vol.3とVol.4のセットで買っていく人が多かったこと。でもよく考えれば夏コミ来れなかったリピータさんがそのセットで買っていくんですね、たぶん。逆にこんどの夏コミでは Vol.4 と Vol.5 をセットで買ってく人が多いと予想されるので、やはり Vol.4は増刷しておくか。

あと、初めて来られた方は入門向けの Vol. 2 を買って行かれる方がやはりけっこう多かったように思います。既刊は40冊ずつ持っていったのですが、どれも3時過ぎに完売となったので、ちょうど良いくらいだったと思います。

一方、『しぇいらコレクション』の方は、ちっとも売れなくて目論見が外れました。くそう。ディスプレイで「あーあーすればよかったな」というのを終わってから思いついたので、次回はそうしよう。

全体的にスペースがキツキツだったので(前回から既にそうだけど)、一部の既刊はそろそろ持っていくのを諦めたほうがよさそう。Vol.1 と Vol.2 は在庫が150冊を切ってきたので、無くなったところで電子書籍に切り替えようか考え中。在庫がなくなった場合、それぞれ1200冊、1000冊を売り上げたことになります。

終わった後はKITTEに入っている「菜々」というお店で打ち上げ。竹流さんご夫婦、売り子のみっきぃーさんとYくん、執筆いただいたsimさんと喙淙濤さん、いつも一緒にコミケに行っている I先輩というメンツ。竹流さんのトーク炸裂で非常に楽しい打ち上げとなりました。

アンケート(プレゼント付き)

TRPG kilica 2014/12/20

今回、ブース(12/29 ケ-24b)にて、『TRPGシナリオ作成大全』シリーズ既刊のアンケートを募集します。

以下よりPDFのアンケート用紙をダウンロードいただき、印刷・記入して当日お持ちください(PDFフォームにしてありますので、PC上でも記入頂けます)。

お持ちいただいた方には、ささやかですが以下のようなNPCシート1枚と交換させていただきます(アンケートごと。なので一人あたり最大3枚までとなります。シートは何種類かあるのですが、ランダムとさせていただきます。たくさんあるので大丈夫だと思いますが、万一無くなってしまいましたらごめんなさい)。
イラスト

なお、プレゼントはなくなりますが、ブラウザからでも回答できます。

冬コミ(C87)氷川TRPG研究室頒布物一覧

TRPG kilica 2014/12/20
だいぶ頒布物の種類が増えてきたので、今回はチラシ(PDF)を作りました。
  • 12/29(月)東地区ケ-24b 氷川TRPG研究室

新刊

TRPGシナリオ作成大全 Vol.4(1000円)

艦これ RPG、インセインといった人気 TRPG のシナリオ作成方法、TRPG の中心とも言える戦闘にまつわる 2 篇の記事、PC たちの出会いを中心に据えた邂逅シナリオフレームワーク、ハンドアウトの作成方法と機能、オブジェクト指向シナリオ設計など、入門向けからベテラン向けまで、今回も盛りだくさん!

しぇいらコレクション

  • 第1集:現代日本(500円)
  • 第2集:ファンタジィ:街/村の人々(500円)

それぞれ 80 人分(!)の NPCのイラストを収録。厚手の上質紙に印刷して提供。切ってすぐに使えます。

既刊

TRPGシナリオ作成大全 Vol. 1(1000円)

ベテランマスターたちがシナリオの作り方、コツを惜しげも無く公開!

発行部数 1000 部超のベストセラー同人誌。

TRPGシナリオ作成大全 Vol. 2(1000円)

シナリオ作成の入門者向け記事の特集。

TRPGシナリオ作成大全 Vol. 3(1000円)

どどんとふを始めとしたオンラインセッション向けシナリオの作り方、マップやランダム表といったツールの紹介など役立つ情報が満載!

ダンジョンシナリオ作成講座(500円)

ダンジョンシナリオの作り方に特化した、入門者向けの一冊。

委託

化石的ゲームマスター読本 1(1000円)

幻燈庵さんからの委託本。夏コミであっという間に完売した人気作です。この機会を逃すと、しばらく手に入らないかもしれません。


ゲームマーケット NPCイラスト集

TRPG kilica 2014/11/15

ゲームマーケット 

明日のゲームマーケットでは、H04 日刊ベルディアスポーツ様にてNPCイラストカード集を頒布する予定です。

NPCカード

男女それぞれ40人ずつ、計80人の現代日本のキャラクタのイラストが厚手の上質紙に印刷されて入っています。 

クトゥルフやインセインなど、現代日本を舞台にしたセッションにうってつけです!
イラストの多くは、同じキャラクタの年代別(小学生、中学〜高校、20代、40代、60代)となっていますので、組み合わせて兄弟、姉妹、親子などで使いやすいでしょう。 

価格もお求めやすい500円。少部数ですのでお早めにどうぞ(冬コミでも頒布予定です)。

「氷川TRPG研究室」冬コミ当選

TRPG kilica 2014/11/2

2014年冬のコミックマーケット(コミックマーケット87)に当選いたしました。 

今回は、『TRPGシナリオ作成大全 Vol.4』およびNPCカード集の『しぇいらコレクション』を発行予定です。 

『TRPGシナリオ作成大全 Vol.4』は、これまで累計2000部以上を発行している人気シリーズの最新刊で、いろいろなマスターの方のシナリオの作り方、コツ、考察などを掲載しています。 

現在、原稿を募集しております。  締め切りは 11/末ですが、事前にご一報いただけると大変助かります(結果、間に合わなかった、書けなかったでも大丈夫です)。 

ご質問などありましたら、お気軽にコメントください。 

graphic.jp 驚愕の入稿システム

一般 kilica 2014/10/26

最近、グラフィックという印刷会社を使う機会があったんですが、けっこう大手なのかチラシなどの印刷費がけっこう安い。その上、送料無料(7000円くらいの注文で)。 そしてポイントまで付きます。

さらに単に安いだけでなく、ウェブ入稿(ダイレクト入稿PDF入稿)のシステムが半端なく整えられています(といっても、他の印刷会社知らないのでひょっとすると最近はどこもこんな感じなのかもしれませんが)。「PDF入稿」はしばらく前からあったんですが、「ダイレクト入稿」は最近追加されたメニューで、Illustrator のファイルを「直接」入稿することが出来ます。
これは、Illustrator のファイルをウェブのフォームからアップロードして入稿、というレベルをはるかに超えています。「ええええ、そんなことまでやってくれるの!?」というレベルです。

まずユーザには Illustrator のプラグインが提供されます。これもインストーラ付きで、ダウンロードしたファイルをクリックして進めていけば面倒なことは何もなく Illustrator にプラグインが追加されます。
そして、そのプラグインのウィンドウを表示にすると、そこから開いているIllustratorファイルのアートボードを指定して入稿可能です。このとき、プラグインが次のようなチェックをしてどの部分に問題があるかをサムネイル上で囲って警告してくれます。

  • RGBモードで作成されている
  • モノクロ面にカラーが使用されている
  • スポットカラー(特色)が使用されている
  • CMYKの合計が380%を超えている
  • レジストレーションカラーが使用されている
  • 文字が混色のブラック
  • オーバプリントが設定されている
  • 仕上がり位置に罫線がある
  • ラスタライズ効果設定が300dpi未満
  • 画像の解像度が150dpi未満
  • 文字がオーバフローしている
  • カラー面がモノクロのみで作成されている
  • 線幅が0.25pt未満
  • 線幅の指定のない直線がある
  • 仕上がりに文字が隣接している
  • 出力されないレイヤーがある

で、一番上から「仕上がり位置に罫線がある」まではボタンひとつで自動で修正してくれます。もちろん、自分で一つ一つ修正して再チェックをかけることも可能です。印刷の素人がやらかしそうなチェックは一通り揃っている、ということでしょうか。ちなみに僕が作った原稿は3箇所引っかかりました ^ ^;; 

これらのチェックを通ると(あるいは「無視する」と)、実際にアップロードすることができます。アップロードしたファイルはサーバ上で1, 2分程度で印刷用データに変換されて、ブラウザ上で確認することができるようになります。ブラウザ上での表示には限界もあるので、TIFFになったファイルをダウンロードしてローカルで確認することもできます。

その結果、問題ない(主にレイアウトの崩れ、塗り足しの指定など)ようであれば1時間後に自動で印刷工程に送られます(「ああ、しまった!」というときの再入稿を受け付けるため、1時間の間をわざと開けているようです)。
印刷工程がどうなっているのか実情は知りませんが、24時間、いつでも印刷工程に送られます。23:59までに入稿すれば、当日入稿扱いで納期計算されます。ちなみに納期計算には、年末年始と一部の特殊加工を除いて、土日祝日も含めることができます。

このように印刷機までは印刷会社の人手を全く介さずに処理される恐ろしいシステムで、こりゃ小さい印刷会社なんかは太刀打ち出来ないだろうなーという感じでした。

TRPGイラスト共有企画「しゃいらコレクション」

TRPG kilica 2014/10/4

自作シナリオやリプレイ、セッションなどで使うことのできるNPCイラストをみんなで集めてコレクションを作ろう、という企画「しぇいらコレクション」というのを始めてみました。

公開するシナリオなんかを作っていると、NPCの説明にちょっとしたイラストなんかを付けたいなあと思うんですが、自分ではイラストかけないし、ちゃちゃっと描いてくれる人もいないし……まあ諦めるか、ってなるわけです。

自分では描けないし、仕方ない。

そう思っていました。

しかし、先日始まった「クラウドゲート」。たくさんの受注者から提案を受けることができるクラウドソーシングサービスの一つですが、イラスト・デザインに特化していて、そういったクリエータさんが集まっています。特にマンガやゲームなんかのイラストに強い。

ここで、「○円でこんなイラスト描いてください」と投げると、たくさんのイラストレータさんが依頼に沿ったイラストを提案してくれます。そう、お金さえあれば簡単にイラストを手に入れることができる環境ができたのです。お金さえあれば。

どかーんとお金を突っ込んでもいいんですが、まあやっぱり限界はあるわけです。そこで、発注する側もクラウドファンディング的に沢山の人からお金を集めて発注すればいいんじゃないか、と始めたのがこの「しぇいらコレクション」です。「文字ばっかりの同人誌(ホームページ)で、ちょっと見栄えが欲しいなあ」って方にぜひご参加いただけたらと思います。興味がありましたらTwitterなどでお声がけください。

いまも丁度発注しているところで、こんな感じにイラストの提案をいただけます。とりあえず、100枚位まで集めたいと思っています。

夏コミ戦利品

TRPG kilica 2014/8/30

えーだいぶ経ちましたが、こんな感じ。

『インセイン』『クトゥルフ』のシナリオが多いですね。

『化石的ゲームマスター読本 1』を読む

TRPG kilica 2014/8/23

玄兎さんにいただいた『化石的ゲームマスター読本 1』を読みました。

本書は新書サイズ 234ページの同人誌で、コミックマーケット86「氷川TRPG研究室」に委託で販売された他、現在通販も準備中です(リンク先をご覧ください)。

どういう本かといいますと、

これは自分のプレイグループの会報に書いていたテーブルトークRPGのエッセイのうち、特にゲームマスターとして知っておきたい事柄について再編集した同人誌です。
でまあ、目次などの概要はリンク先をご覧いただいたほうがいいかと思います。

まず本書をざっと読んで受ける印象としては、「非常に丁寧な記述だ」というものです。やっぱり我々は第一には遊ぶ側なので、こういった本を書く場合、どうしても、得意な分野は記述量が多くなり、反対に苦手な分野は少なく、ともすると省略してしまいます。……いやまあ、僕はそうなんですが。
しかし本書には、そういった偏りがみられません。ジャンルの紹介にしても、システムタイプの紹介にしても、同じような文章量で紹介されています。
これは書き手に知識量が要求されるだけでなく、得意な分野を書き過ぎない、苦手な分野から逃げない意志の力が必要な仕事です。それも、200ページ以上の本でこの公平な態度を続けなければいけないわけで、それだけで恐れ入ってしまいます。この作者、暇だ

本書のもう一つの特徴は、ゲームマスターの役割に関する網羅的な記述です。システムの選定、遊ぶ環境の準備、シナリオ作成、セッションハンドリングと、どの分野についても隙なく、漏らさず、前述の公平性を持って解説されているのです。よくこれだけ、トピックを拾い上げたなと思います。目次だけでも価値があるといえます。この作者、暇だ

しかしそれだけに、ゲームマスター初心者に安心して薦められる本と言えます。 まさにゲームマスター初心者に最適のガイドブックといったところです。

本書について、もう一つだけ付け加えたい。本書は、基本的にはゲームマスタ入門者向けの本であり、ベテランマスタにとっては概ね了解している事柄が書かれています。しかしながら、本書の随所にTRPGの諸概念について、バランスの良い、明快な定義がされていてはっとさせられます。いくつか拾ってみてみましょう。貴方ならどう説明しますか?

判定とは、ある不確定な事柄に関する事実を決定するルールである。(p.62)

テーブルトークRPGでは様々な状況をゲームとしてプレイすることができる。そうしたゲームの幅を支えているのがシナリオの存在である。(p.120)

キャラクターとは何か。一言にまとめるなら、彼らはゲームの舞台の住人たちである。しかし実際にセッションに登場するキャラクターたちには、ゲームのコマであることや、物語を構成する要素であることなど、様々な役割が期待される。(略)
キャラクターを表現するものは、大きく二つに分けることができる。ひとつはキャクターの行動。(略)もう一つはゲームデータである。(pp.186-187)

こうした概念の定義を見て、さて自分ならどう表現するかを考えてみると、筆者のTRPGに関する深い理解と力量を読み取れるのではないかと思います。ベテランマスタにとっても、本書をしっかり読み込むと新たな発見があるかもしれません。

C86 夏コミ1日目

TRPG kilica 2014/8/18

この夏もコミケにサークル参加し、シナリオの作り方本ほかを頒布してまいりました。

今回は、いつもの『TRPGシナリオ作成大全』シリーズの最新刊(Vol.3)と既刊のほか、できたてホヤホヤ、オリジナルTRPGの『フォルクロア』と、玄兎さんのところからの委託『化石的ゲームマスター読本 1』を頒布しました。

売り子は、いつも手伝って頂いている tricken さんと、「どどんとふ」開発者のたいたい竹流さん。竹流さんは、その名前だけでブースに集客できるビッグネームですし、tricken さんは幅広く、たくさんのフォロワーを持っていて準備段階から積極的に宣伝してくれました ^ ^

東京には夜中の2:00ごろ到着。当日朝はtricken さんと7:00ごろ、浜松町駅で待ち合わせて車でビッグサイトへ。そしていつもどおり、東駐車場へのアプローチがわからずにぐるぐる回ってました。でまあ7:30ごろ駐車場に停めて、会場入り。この日は(というかこの3日間は)比較的涼しく、楽では有りました(それでも蒸して暑かったですが)。

嵯峨崎さんのところや九頭竜堂など絶対に買っておきたいところ(で売り切れそうなところ)は、開始直後に竹流さんをパシリwwwに出して買ってきてもらいました。それ以外はお昼ごろに抜け出して買ってきたのですが、……結構買ってしまった。また後でレビューします。

頒布数は、新刊の大全 Vol.3 約160部、既刊の大全 Vol.1, 2 約80部ずつ、『道具箱』40部、『ダンジョン』約30部、フォルクロア約20部を頒布しました。

『道具箱』と『ダンジョン』は昼過ぎになくなってしまいすみませんでした。

ショップでの販売については、「入手方法」を御覧ください。なお、各ショップに入荷するのは、8月末頃となる予定です(一部ショップでは早くに出る可能性もあります)。

玄兎さんのところから委託で預かった『化石的ゲームマスター読本 1』も、30冊ほどが午前中に完売。指名買いが多かったですし、来てくれた方にも説明はシナリオ作成本のみだったりしたのですが、堅実に売れていきました。

宣伝しなかったのは『フォルクロア』も同じなのですが、こちらも意外と売れてくれました。20冊ほど。『大全』納入後に作り始めた薄い突発本で、プロトタイプバージョンなのですみません、という気も。特に、5冊も買って行ってくれた人がいらっしゃいまして、ほんと何と言ってよいか m(__)m あ、あれですね、キックスターターにでも投資したとお考えいただければ……え、だめ?

会場には最後の16時までいて、その後は寄稿メンバー+の7人で東京駅の「はなたれ」という魚料理の店へ。

TRPGの話、Paranoia や TORG やハーンマスターの話、平成生まれの話、乗象国際ライセンス取得体験談などで盛り上がりつつ、魚美味い、酒旨い、と舌鼓をうっておりました。野菜の盛り合わせも、これが切っただけの野菜か、というほど美味しい。刺し身13種盛りも、天ぷらも、牡蠣も、そして店員が「お客様に特別に」と薦めてきた(笑)マグロのカマも、どれもこれも美味しかったです。僕は飲めないし運転もあったので飲んでないのですが、紙魚砂さんチョイスの「獺祭」というお酒がめちゃめちゃうまかったそうです。高かったけど(笑)

これだけ大量に美味しいものを飲み食いしたので(お店の入ってるビルもセレブな感じだったし)支払いがやや、やや心配でしたが、想定よりもちょっと高い程度で収まりました。素晴らしいお店を選んでくれた竹流さんの奥さんに感謝です ^_^
ご参加いただいた皆さんには話も料理も楽しんでもらえて、初顔合わせとなるメンバーも居ていい打ち上げになったようです。

夏コミ頒布情報:TRPGシナリオ作成本、他

TRPG kilica 2014/8/9

いよいよコミケまで1週間!

8/15(金) 東地区 コ-56b「氷川TRPG研究室」

で頒布する予定の本の情報をまとめました。

今回の新刊は、委託も含めまして以下の3冊となります。

その他、既刊も頒布いたします。

TRPG シナリオ作成大全 Vol.3(頒布価格1000円)

今回は「シナリオ作成を支援するツール・サービス」および「オンラインセッション向けのシナリオ作成」をテーマにした記事を掲載しています。

  • はじめてのオンセシナリオ(紙魚砂)
  • オンセだ!パラノイアをやろう!(白河 日和)
  • どどんとふオンラインセッション前夜祭(たいたい竹流)
  • オンラインセッションツールとルール・シナリオ記述言語(椎路 ちひろ)
  • 貴方のセッションを強力にサポートするツール・サイト集(aoringo)
  • セッションを彩るマップ作成ツール紹介(氷川 霧霞)
  • 厳選ランダム表サービス(氷川 霧霞)
  • シナリオ作成関連ツール

ナラティヴRPG『フォルクロア』プロトタイプ(頒布価格500円)

ひみつのTRPGシステム。

ナラティヴ指向のTRPGをリソース指向で実装し、レイヤードアーキテクチャとモジュール化の徹底によってコアシステムをミニマルに保っています(なんだそりゃ)。

化石的ゲームマスター読本 1』(頒布価格1000円)

玄兎さんのところからの委託本です。実は今回の目玉作品。新書サイズ200ページ以上に、「ゲームマスターの役割ってなんなのか?」という根本的なところから、システムの選択、シナリオの作り方、セッションの運営術と、マスターを務めるにあたって必要な知識、心構えが網羅されていて、市販本とも全くタメを張れるレベルです。

非常に残念ながら、委託本なので30冊弱しかありません。既に噂を聞きつけ狙っている人がうようよいますので、お早めに。

既刊

http://scenario.trpg.me/article/12

  • 『TRPG シナリオ作成大全 Vol.1』(頒布価格1000円)
  • 『TRPG シナリオ作成大全 Vol.2』(頒布価格1000円)
  • 『TRPGシナリオ作成の道具箱』(頒布価格500円)
  • 『ダンジョンシナリオ作成講座』(頒布価格500円) 

夏コミ新刊『TRPG シナリオ作成大全 Vol.3』

TRPG kilica 2014/8/2
既に告知済みですが、入稿も完了しましたので改めて。

8/15金曜日 東地区 コ-56b 氷川TRPG研究室

新刊

TRPGシナリオ作成大全 Vol.3

特集はオンラインセッション用シナリオの作り方とTRPG関連ツールです。前者は50ページに及ぶ「初めてのオンセシナリオ」、どどんとふでのシナリオ準備の手順解説など、後者は地図、ランダム表、お役立ちウェブサイトの紹介などを掲載しています。

リンク先に記事一覧を掲載していますのでご覧ください。

既刊

その後の自作システム

TRPG kilica 2014/7/17
  • ナラティヴ指向 / cf. ゲーム指向、シミュレーション指向
  • リソース指向システム / cf. 特性値(能力値、技能値、etc)指向
  • レイヤード・アーキテクチャ(背景設定層 / 判定体系層・データ層 / シナリオ層 / セッション層)
    • 薄いシナリオ層とセッション層
    • 空洞の判定体系層・データ層
    • エクステンションによる拡張(背景設定、ランダマイザ、ハック、アダプタ)
  • ロールではなく選択

我ながらなんじゃこりゃ、という感じのシステムにw

ひとまず限定公開中ですが、読みたーいという方がいましたらコメントか tweet ください(そのうち一般公開します)。

ナラティヴTRPG『フォルクロア』

TRPG kilica 2014/7/13

『フォルクロア』は、『ノチェットだより』の「HeroQuest紹介」という記事を読んで、考えて、衝動的に作りたくなって作った作品です。構想2日、執筆1日くらい。

現在は、アルファ版ということで興味ある方にのみ限定公開となっています。 @kilica に「みせて〜」とご連絡ください。

さて、上記の「HeroQuest紹介」ですが、「ナラティヴ」といういささか分かりづらい概念を、とても分かりやすく解説してくれている記事で、興味のある方はぜひ読んでみてください。

一方で、記事を読んで思ったのは、いろいろな意味で「僕には無理かな」というのと、ナラティヴという方向性とHeroQuestにおける実装に対する違和感でした。その違和感や、じゃあどういうシステムなら僕でも遊べるだろうか、と考えていくうちに「ええい、とりあえず作っちゃえ」と作ったのがこの『フォルクロア』です。

まじめに作りこんでいる暇はないので、最低限のコアルールのみ、ということで作り始めたのですが、最初は能力値も簡単な判定ルールもあってゴテゴテとしていました。それでも、多くのシステムよりはさっぱりしたものでしたけど。

そしてアルファ版では、背景設定はもちろん、判定もデータもキャラクタ作成ルールもなし、という大胆なシステムに仕上がったのでした。

え? どういうことでしょうか? ちょっと解説しましょう。

ロールプレイングゲームのシステムは、必ずしも明確に意識されないかもしれませんが、いくつかのレイヤーからなっています。

多くのロールプレイングゲームは、以下のようなレイヤからなります。主には、「背景設定」と「判定体系」「データ」のレイヤです。その上に載っている、シナリオフォーマットとセッション運営手順のレイヤについては明示されているシステムは限られています。また汎用を謳うシステムの場合、「背景設定」レイヤは別途提供されます。

フォルクロア レイヤーシステム

一方、『フォルクロア』は、他のロールプレイングゲームのシステムとは逆で、上の図のようにコアルールでは判定体系、データ、背景設定はコアルールでは提供されません。代わりに、シンプルなセッションの運営手順とシナリオフォーマットが提供されます(厳密には、ごく限定的な判定が「セッション運営手順」のレイヤーに移譲されています)。

そしてもし参加者(特にマスタ)が望むのであれば、世の汎用システムが背景設定レイヤをそうしたように、既存のシステムの判定体系やデータを『フォルクロア』に持ち込むこともできます(なくても遊べます)。

ってな感じのシステムです。

夏コミ新刊状況

TRPG kilica 2014/7/12

 夏コミ新刊『TRPGシナリオ作成大全』ですが、Vol.4は原稿締め切りを過ぎましたが十分な量が集まっていませんので、発行を冬コミに延期します。

なお、Vol.3 は予定通り発行いたします。

実はギリギリ発行できなくもない、という非常に微妙な量の原稿が集まっているのですが、まあ慌てて出すこともないと思いますので、じっくりいい本を作りたいと思います。Vol.3は出ますしね。

というわけで、Vol.4 は冬コミで発行いたしますので、記事を書いてみようかな〜と思っていた方はよろしくお願いいたします。締め切りは、11月中旬を予定しています。

夏コミ新刊の『TRPGシナリオ作成大全 Vol.3』についてはこちらをご覧ください。

TRPGシナリオ作成研究会

TRPG kilica 2014/3/25

Google Groups にTRPGのシナリオ作成についてディスカッションするグループを作りました。『TRPGシナリオ作成大全』などで、意見を聞きたい場合なんかに使おうと思っています。

TRPGシナリオ作成研究会

また、シナリオ作成関連で見かけたサイトなどをメモ代わりに投稿しています。

シナリオの作り方に興味のある方は、ぜひ登録してみてください ^ ^

2014年の予定

TRPG kilica 2013/12/31

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

今年も、引き続き『TRPGシナリオ作成大全』を中心に活動していく予定です。2014年に出したいなーと考えている内容につきましては、こちらを参照下さい。原稿絶賛募集中です。

また、オリジナルシステムも作りたいなーとずっと思ってて、いま作りたい(というかつくりかけ)のが2つあります。
一つは、ついこの前発表のあったばかりの艦これTRPGとシステムコンセプトが被る可能性があるので、まあそうなったらお蔵入り(テーマは艦これと全く関係なくてファンタジーです。艦これ遊んだこと無いし)。
もう一つは玄兎さんが普段から遊んでいて「名と数から生まれるキャンペーン・ゲーム」(『TRPGシナリオ作成大全 Volume I』収録)やブログでその片鱗を紹介してくれているような遊び方を前提としたシステム。TRPG+ボードゲームみたいな。こっちは、まだ構想を考えている段階ですが、既存のシステムにアタッチして遊べるようなメタシステムというかフレームワーク的なものにするか、おとなしく普通のシステムにするかどうしようかなーという感じです。
えー興味があって一緒に創ってみたいという方がいらっしゃいましたらご連絡下さい。

でまあここまでやろうとすると時間が足りませんので、『大全』シリーズの方はアウトソースを考え始めています。実際、DTPについては1件、アウトソースずみです(いえーい!)。こちらも、企画や編集をやってみたいという方がいらっしゃいましたらご連絡下さい

そしてセッションは、いつも遊んでいる仲間が忙しくて回数が減りそうです > <