氷川 TRPG 研究室

Hikawa TRPG Laboratory

作戦級シナリオ

タグ:
TRPG
シナリオ
同人
2014/5/24
カテゴリ
シナリオ作成
本記事は2014年夏コミ発行予定の『TRPGシナリオ作成大全 Vol.4』への掲載記事の草稿です。本記事に触発されて「自分もなにか書いてみたい」という方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡下さい。

作戦級シナリオ

「作戦級シナリオ」というのは、勝手につけた名前ですが、TRPGのシナリオの一類型として考えています。
ウォーゲーム/シミュレーションゲームの「戦術級」「作戦級」「戦略級」などの分類の「作戦級」からとっていますが、実のところその辺りに疎いのであまり適切ではないかもしれません(いい呼び名がありましたら教えて下さい ^^)。

ウィキペディアでは、「作戦級」は以下のように説明されています。

1ターンは半日から一週間、1ヘクスは数キロから数十キロに相当し、一つの部隊駒は一個大隊、一個連隊ないし一個師団程度を表す。プレイヤーは軍団長(数個師団を統率)、軍司令官(五〜十五個師団を統率)ないし軍集団司令官(数十個師団を統率)の立場をプレイする。
Wikipedia ウォー・シミュレーションゲーム 

TRPG に当てはめると、大雑把に言ってシナリオの1シーンが戦術級、シナリオが作戦級、キャンペーンが戦略級に当てはまる感じでしょうか。ただ、TRPGのシナリオの多くは、作戦を立ててそれを遂行するというよりも次々と目の前に現れる状況に臨機応変に対処できるかというのを試すゲームになっているので、それとの違いを表すという意図も込めて「作戦級シナリオ」と読んでいます。

また本記事は『TRPGシナリオ作成大全 Vol.1』に収録されている @otneg さんの「名と数から生まれるキャンペーン・ゲーム」から基本的なアイディアを頂いており、それを一つのフォーマットに落としたのがこれからご紹介する内容となります。

作戦級シナリオのサンプル

まずは、例となるシナリオを見ていただくと、理解や説明が早いでしょう。以下がそのサンプルです。

作戦級シナリオサンプル

このように、ノード(円)とそれを繋ぐ線を引いて、円の中に得られるポイントを書きます。

パーティの目的は、この各ノードに陣取っている敵を倒して、ポイントを獲得していくことです。敵を倒すのは、通常のTRPGの戦闘のルールで行います。
シナリオの終了時点で「獲得したポイントの合計」+2d6を振って、目標値以上が出ればシナリオのミッションは成功です。例えば、パーティが 7, 2, 1(合計10)のノードを押さえ(このノードの敵を倒し)、シナリオの目標値が15であれば、シナリオ終了時に 2d6+10 で15以上を出せばシナリオのミッションは成功となります。簡単ですね。

ただし、これにいくつかの簡単なルールが付け加わります。

  • ノード間を移動するには、線の上を通らないといけません。
  • 敵が押さえているノードを素通りすることは出来ません。そのノードの敵を倒していなければなりません。上の例では、いきなりノードa には行けません。ノード d か e の敵を倒してからでなければなりません。
  • あるノードの敵に戦闘を仕掛けた場合、そのノードのポイントが隣接するノードのポイントよりも高ければ、低い方のノードから「援軍」が来る可能性があります。ポイントの高いノードから低いノードに「援軍」が来ることはありません。例えば、ノードd(2ポイント)に戦闘を仕掛けると、ノード e, f (1ポイント)から援軍が来る可能性があります。ノードa(7ポイント)から援軍が来る可能性はありません。
  • シナリオの終了までに、パーティには3回の行動(戦闘)が許されています。3回行動すると作戦時間終了となって結果の判定に移ります。

ダンジョンシナリオとの違い

この図は、ダンジョンシナリオによく似ています。線を通路、ノードを部屋と考えれば、ダンジョンシナリオと同じですが、通常のダンジョンシナリオと違って、どのような部屋・通路の配置になっているか、どんな敵がいるのかが明らかになっており、更に行動回数の制限によって全ての「部屋」をまわることはできません。そのため、攻略するにあたってプレイヤに求められるものが、通常のダンジョンシナリオとは異なります。作戦級シナリオでは、PCの戦力やリソース、相手のタイプとの相性などを考えながらどのノードをどういう順番で落とすかをまず初めに考えなければなりません。

ダンジョンシナリオのように「次に何が起きるんだろう」というドキドキ・ワクワクは無い代わりに、プレイヤたちがワイワイ相談しながらしっかり知恵を絞って作戦を立て、それがハマって上手くいく、失敗するという楽しみがあります。この辺の感覚から「作戦級シナリオ」と名づけています。

そしてシナリオを作るのも楽です。基本的にはダンジョンシナリオですので、マップと敵を用意すればOKです。そして、どの敵と戦うかはプレイヤ達が決めますので、バランス調整も楽な面があります。きついと思ったら、強敵のいるノードは回避すればよいのです。

作戦級シナリオの背景

さて、「作戦級シナリオ」のいくつかのルールが何を意味しているかというのにはここまであまり触れてきませんでしたが、いちおう、友軍と一緒に小規模な軍事作戦行動(というとちょっと大げさですが)をしている、と想定しています。攻めてきたモンスターの軍団と戦っているとか。
ですので、シナリオ上のラスボスみたいなのを倒しても、シナリオ終了後の判定でミッション失敗になる可能性があるのは、友軍がボロボロにやられて全体としては負けた、ということを意味しています。反対に、PCはラスボス戦で負けて退却したとしても、ダイス目(友軍の頑張り)によって勝利することもあるのです。

拡張する

もう少し複雑なルールを取り入れることも出来ます。

隠された情報

いくつかの情報がパーティに提示されていません。例えば、敵の種類、敵の数、得られるポイントなど。あるいは、いくつかの幅を持って提示されています。例えば、ゴブリン5-10匹、アンデッドモンスター3体、得られるポイント3-5点、など。

誤った情報

パーティに提示されている情報が、実際の情報と食い違っています。

変化する状況

ターンの進行に伴い、状況が変化します。敵の一部が増員される、移動する、撤退する、得られるポイントが変化する、などが発生します。

ターン間の行動

パーティはノードを制圧する以外に、以下の様なサブ的な行動を各ターンの間に1回行うことが出来ます。

  • 偵察:「隠された情報」「誤った情報」を確認する
  • 交渉:友軍と「交渉」して援軍をだしてもらう。援軍は、敵側の「援軍」(ポイントの低いノードから高いノードへの援軍)を防いでくれます。代わりに、最終的なミッションの達成判定の目標値が1高くなります。
  • 休息:HPやMPを回復させます

もう少し考えていることはありますが、とりあえずこんな感じで。   

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