氷川 TRPG 研究室

Hikawa TRPG Laboratory

ペアシナリオメイキングの進め方

タグ:
シナリオ
TRPG
2011/9/26
カテゴリ
シナリオ作成

ペアシナリオメイキングは、おおざっぱな定義としては「シナリオの全体にわたって二人で密にやり取りをしながら進めるシナリオ作成方法」ということになるのですが、単に二人でペアを組んでメールなどを使って始めても上手くいかない可能性があります。

以下でどんなやり方やツールがあるか、どんな点に気を付けた方がよいかをご説明しますので、ちょっと面倒かもしれませんが目を通してください。

相手を探す

最近では Twitter や TRPG SNS などがありますので、そこで一緒に作ってくれる人を募るといいでしょう。

いつも一緒に遊んでいる仲間と作ってもかまいませんが、そのシナリオは遊べなくなります。

「ペア」シナリオメイキングなので、主に想定しているのは二人で作っていくスタイルですが、場合によっては3人以上でも可能です。ただ人数が増えるにつれコミュニケーション(合意)が大変になっていくので、二人出始めるのがいいと思います。

募集要項

ペアシナリオメイキングの相手を探す場合は、以下のような点を示して集めるといいでしょう。

  • 使用システムとキャラクタのレベル
  • シナリオ作成やTRPGの経験
  • シナリオの方向性、シナリオで実現したいこと
  • シナリオの規模
  • 作業ペース(後述)
  • ライセンス・成果物の扱い(後述)

作業ペース

どれくらいの期間で完成までもっていくつもりか、またおおよその更新の頻度(毎日、毎時間、週末のみなど)について、予め相手と合意しておきましょう。人によってTRPGのシナリオ作成に避ける時間は全く違うものです。

成果物とライセンスについて確認する

ペアシナリオメイキングではお互いにアイディアを出し議論しながらよりよいと思われるシナリオを創り上げていきます。しかしながら、趣味の違いや判断によって、お互い自分のアイディアを譲れない部分が出てくるかもしれません。シナリオの根幹部分で相違が出てしまったり、あまりに趣味が違っていて至るところで衝突するようではどうしようもありません。残念ながら合わなかったと思って別の相手を探しましょう。

しかし、そうした相違がシナリオの一部に収まるのであれば気にすることはありません。それぞれのバージョンのシナリオを持てばいいだけです。どちらの案でもいいのでとりあえず完成させておき、後でその部分だけ自分の案に置き換えて使えば良いのです。

またどこかで発表することも考え、ライセンスについて取り決めておきましょう。ライセンスというと大げさですが、最近では文章やイラストで使われるようになってきた「クリエイティブ・コモンズ」という使い勝手の良いライセンスがあります。

Wikiを使う

ペアシナリオメイキングは、主にオンラインでやり取りをしながら作っていくことを想定しています。オフラインで実際に顔をあわせて作るほうがコミュニケーションは取りやすく早く進みますが、それではペアとなる相手が会える距離にいることは期待できませんし、お互いの都合がいいまとまった時間も必要となるでしょう。また、シナリオを考えるという作業には、ある程度のスパンの時間が必要となります。その場ではいいアイディアが出ないかもしれません。

そのためオンラインで作っていくことを前提としているのですが、ペアシナリオメイキングには Wiki タイプのウェブアプリケーションが向いています。最近では Wiki も一般的になってきたのでご存じの方も多いかと思いますが、Wiki は、複数人で一つのページを更新していくためのアプリケーションです。ウェブでのコミュニケーションの手段としてはメールや掲示板、チャットなどが思い浮かぶと思いますが、これらは皆、一つのページを更新するのではなく、それぞれの発言を積み重ねていくタイプのアプリケーションです。

ペアシナリオメイキングでは、シナリオという一つのアウトプットを作ることになりますので、掲示板やチャットではやり取りの後で再度シナリオの形にまとめ上げなければなりません。これは、果てしなく面倒な作業です。調整の末、どれが決定事項かを探すだけでも一苦労です。そもそも、議論が尻窄みになって結論が出てないかもしれません。当然、シナリオ作成途中にいまシナリオの全体像がどうなっているかを把握するのは人間業ではないでしょう。

Wiki は、相手の書いた文章を自由に改変することが出来る仕組みになっています。Wiki を使えば、相手とやりとりしながらアウトプットそのものを何度も書き直しながら作っていきますので、その手間がありません。Wiki には常に最新の内容が書かれているので、今シナリオがどうなっているか把握するのも簡単です。

自分が書いた内容を勝手に書き換えられちゃうなんて気持ち悪い、と感じるかもしれませんが、いつ、誰が、どこをどう変更したかは履歴に残り「最近の更新箇所」のように簡単に確認できるので、相手の書き換えた内容が気に食わなければ、なぜそう書き換えたのかを相手に聞いて議論することができます。最初は相手の書いたものを上書きするのは躊躇してしまいますが、お互いどんどん上書きしていくのが Wiki 的な流儀です。

Wikiは、ブラウザさえあれば無料で利用できるサービスが幾つかありますので、「参考サイト」で幾つかご紹介します。

なおWiki自体は議論や意見交換には向いていませんので、そこはチャットや掲示板を併用します。ただ、多くのWikiにはページの中にミニ掲示板を設置する機能がありますので、だいたいはそれで事足りるでしょう。

シナリオの目次を作る

ペアシナリオメイキングを始めたら、まずシナリオの大枠を作ります。

Wikiでは自由にページを増やし柔軟に文章を書いていくことができますが、目次、背景舞台設定、登場NPC、および各シーンで1ページづつ作るといいでしょう。この時点ではいくつシーンがあるか決まっていないこともあるでしょうから、あくまでも暫定的なものとして、ページだけ作ってしまいます。

設定も、「地域」「季節」「舞台」など、内容は空欄でいいので、「あとで埋めなきゃいけない項目」だけ書いていきます。

こうして、お互いに「これから何を決めていかなければならないか」「あとTODOに何が残っているか」がはっきり分かるように、そして思いついたらいつでもその項目を埋められる状態にしておきます。

相手に説明する

ペアシナリオメイキングのメリットの多くは、「相手に自分のアイディアを説明する」という行為にあります。なので、考えた結論だけを書くのではなく、なぜそう考えたのか、他にどんなアイディアがあったのか、なぜそのアイディアを選んだのか、といった思考の過程や意図を積極的に相手に伝えてください。

シナリオの季節を春にしたならなぜ春なのか、シナリオの最初の遭遇にゴブリンを出したならなぜゴブリンにしたのか、そもそもなぜ遭遇を作ることにしたのか、シナリオ上のすべての要素について、その意図があっても良いくらいです。「なんとなく」ならなんとなくでも構いません。意図が相手に対して示されていることがいちばん重要です。

参考サイト

Wikiサービス

ユーザによってアクセス制限(編集権限の設定)できることと、簡易掲示板かコメント機能が設置できるか、編集の履歴/差分を表示できるかが特に重要です。

また、Wikiのプログラムは様々な種類が無料で配布されていますので、ご自分の使っているレンタルサーバなどに設置して使うことも出来ます。

ペアシナリオメイキングの実践例

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