氷川 TRPG 研究室

Hikawa TRPG Laboratory

Hello, ダンジョンシナリオ

タグ:
シナリオ
同人
TRPG
2011/12/12
カテゴリ
シナリオ作成

第一部 Hello,.ダンジョンシナリオ

ではいよいよ、ダンジョンシナリオを作ってみましょう。読んでいるだけでなく、必ず作ってみてください。

まずは A4 くらいの紙と筆記用具、モンスターデータの載ったルールブックを用意してください。

用意はいいでしょうか?

始める前に、これから作るダンジョンシナリオのスペックを書きます。この条件を満たすようなシナリオを作ることを目指しましょう。

• 舞台は地下迷宮

• パーティのレベルは低レベル(作ったばかり)

• プレイ時間 2-4 時間

• パーティの目的は、ダンジョン内の怪物を一掃し、宝物を持って帰ること。

始める前にもう一度おさらいしておきますと、ダンジョンシナリオを構成する最低限の要素は次の 3 つです。

• 地図

• モンスター

• 宝物

これから、この 3 つの要素を順番に作っていきます。



第4章 ダンジョンシナリオの基礎

 

1.ダンジョンの地図を描く

はじめはダンジョンの地図を作ります。

ダンジョンシナリオの構成要素は、「地図」「モンスター」「宝物」と言いましたが、モンスターも宝物も、地図の上に配置するものですから、地図から作るのが一番わかり易いのです。

慣れてきたら、最初にモンスターを選んで、そのモンスターを活かすような地図を作る、という方法もありますが、はじめのうちはまず地図を描きましょう。

よくある地下迷宮、部屋同士が通路で結ばれたタイプを作ります。

最初なので部屋一つ……でも良いのですが、さすがに作りがいがありませんので、5 つの部屋を用意し、通路で結んでダンジョンの地図を作ってみてください。

 

2.モンスターを配置する

地図を描いたら、次にルールブックに載っている中からモンスターを選んで各部屋に配置します。

ここでは、次の3つの点を考える必要があります。

• どのモンスターを選ぶか

• モンスターの数をどうするか

• どの部屋に配置するか

選んで配置できたでしょうか?

ひょっとすると、どのモンスターを選んでいいか迷ってしまったかもしれませんね。どんな強さのモンスターを選べばバランスがいいのか、全然分からなくて困ってらっしゃるかもしれません。とりあえず今回は、ダンジョンシナリオ作成の手順を体験してもらうのが目的ですので、バランスや細かいことは気にしなくて構いません。

もし作っていて、「このモンスターを出してみたいな」とか「どんな順番で配置しようか」とか、ワクワクしながらこのステップを進めることができたなら、あなたはダンジョンシナリオをつくリマスタリングをするのにとても向いていると思います。

 

3.宝物を配置する

最後に宝物を配置します。

定番なのは、一番奥まった部屋に宝物を配置するパタンです。しかし途中のモンスタがいくらかの宝物を持っていることにしても構わないでしょう。

宝物も、ルールブックに載っている魔法の品や宝石から選んで出しましょう。そういったものが載っていないシステムであれば、単純に現金(金貨や銀貨)を出します。

作ったシナリオで遊ぶ

さて、以上ではじめてのダンジョンシナリオは完成です。

気軽に遊ぶことが出来る仲間がいれば、ぜひ一度遊んでみてください。慎重な性格の方は、もう少し読み進めてちょっとだけシナリオの完成度を高めてみましょう。

いずれにしても、遊んでみると頭で考えているだけでは見えて来なかった部分が見えてくると思います。それを次のシナリオの時に活かしましょう。

 

なお、このシナリオで遊ぶ場合は、セッションが始まったら次のようにプレイヤたちに告げます。

「君たちは財宝が隠され、怪物共が巣食うと言われている洞窟の前にいる。果たして怪物を倒し、財宝を持って生還できるか。期待と不安の入り混じる中、薄暗い洞窟の中に足を踏み入れる……」

有無を言わさぬ導入ですが、ふだん PC が暮らしている街からダンジョンに向かう動機付けや情報収集を入れると、そのフェーズでシナリオがコケる可能性が高いので、慣れないうちはこんな感じで始めてしまって構いません。

 

第5章 改良する

さて、遊べるダンジョンシナリオが作れました!(出来はともかく)

とても簡単ですね。

基本的には選んでいくだけですので、斬新ですごいアイディアを持ってないと作れない、なんてことはありません。誰でも作れるはずです。それも、慣れれば1時間もかからずに作れてしまうでしょう。

でも、まだ出来たシナリオが面白いシナリオなのか、出来のいいシナリオなのかはよく分かりませんね。作ったのが初めてであれば、もっと面白くなるように改良できる点がたくさんあるでしょう。

そこで、次に作ったシナリオを改良してみましょう。

 

モンスターの配置を改良する

3つの要素のうち、現時点で一番改良の余地があるのはモンスターの配置です。

次の順番に、モンスターの配置を見なおしてみてください。

 

モンスターのいる部屋を入れ替えてみる

モンスターのいる部屋を入れ替えて考えてみてください。一番よく見るのは、入り口の敵は弱く、奥の敵は強く、一番奥にラスボスがいる、という順番です。でもそれが一番でしょうか? 大胆に、ラスボスを入り口に配置するとどうでしょうか?

 

部屋の中の配置を変えてみる

パーティが部屋に足を踏み入れた時のモンスターの配置を変えてみます。入り口付近にいるのか、部屋の奥にいるのか、かたまっているのかバラバラにいるのかによって、戦闘の中でキャラクタたちの取るべき戦術が変わってきます。

 

モンスターの種類と数を変えてみる

配置したモンスターの種類と数を変えた場合のことを想像してみてください。モンスターの種類を弱いのにしてたくさん出す、あるいはモンスターの種類を強いのにして数を減らすとどうでしょうか?

 

モンスターを混ぜてみる

一つの部屋に、複数種類のモンスターを出してみます。モンスターの特殊能力によっては、一緒に出すことで単に数が増えた以上に強かったり、逆に対して強くならなかったりすると思います。

 

地図を改良する

今回描いてもらった地図は、通路と 5 つの部屋からなるダンジョンでした。これを変えることでもっと面白くすることが出来るでしょうか?

直列に 5 つの部屋が並ぶダンジョンと、途中で2つに分岐するダンジョンと、最初に 5 つに分岐するダンジョンではどれが面白いダンジョンでしょうか?

部屋の大きさや形を変えることで戦闘はどう変わるでしょうか。狭い部屋であれば飛び道具は余り役に立ちません。反対に広い部屋だと飛び道具が活躍し、数の多さが有利になります。

通路も、分岐させる、合流させる、曲がりくねらせる、長さを変えるなどによって、プレイヤに考えさせることができます。

※後で説明する「手がかり」や「モンスターの反応」を絡めたときに、とても重要な要素になります。

 

宝物を改良する

今の時点では、宝物を変更しても面白いシナリオにはなりません(プレイヤの喜んだりがっかりしたりは変わりますが)。

宝物の改良のしかたはこの先の第二部でダンジョンを作るときにご紹介します。

 

 

第6章 バランス

敵の強さのバランスは、シナリオを緊張感あるものにし、楽しむために重要です。とりわけダンジョンシナリオは、戦闘でモンスターを倒すのがシナリオの中心となりますので、敵の強さのバランスがとれていることは最重要項目です。

しかし、残念ながら本書ではバランスについてあまり触れることができません。システムによって全く変わってきますし、同じシステムでも PC の人数、パーティの構成、PC それぞれの強さ、プレイヤの熟練度によって、適切なバランスに相当な幅が生じるからです。

ダンジョンシナリオに向いたシステムであれば、ある程度の目安についてはルールブックに「敵レベル」などの項目に書かれていますし、どれくらいの数を出せばいいかの指針も示されているでしょう。それを参考に何回か遊んで感覚を掴んでください。

以下では、バランスを取るための基本的なテクニックについて、いくつかご紹介します。

 

シナリオの達成を多段階にする

シナリオで達成すべき目標を幾つか用意しておく方法です。例えば、ダンジョンから宝物を持って帰るシナリオの場合、宝箱を 3 箇所に用意しておきます。最初の宝箱を手に入れるのは比較的簡単にし、2 つ目の宝箱はやや難しく、3 つ目の宝箱は難易度を高くして相当上手く敵を倒さないと手に入らないようなバランスにします。

最初の宝箱を手に入れれば最低限の目的は達成として扱えば、様々なレベルのプレイヤ達に対応することができます。

 

場合分けする

プレイヤが 4 人の場合と 5 人の場合とで登場させるモンスターの数を変えます。コンベンションなど、予めプレイヤ人数がわからない場所で遊ぶ場合に有効です。

シナリオには、

プレイヤが 4 人の場合:ゴブリン 5 人、ホブゴブリン 1 人

プレイヤが 5 人の場合:ゴブリン6人、ホブゴブリン 2 人

のように記述しておきます。人数を変えるほか、モンスターの種類を変えたり装備を変えたりして調整する方法もあります。

 

NPC で補う

パーティに同伴する NPC を設定しておき、パーティの強さに応じて戦闘中の支援度合いを調整します。ただし NPC があまりでしゃばるのは本来好ましくありませんので、事前のバランス調整に大きく失敗した場合のフォローに限った方が良いでしょう。プレイヤたちが大きなミスをした場合には、この NPC の支援具合を変えることはありません。

 

セッションの途中で調整する

あまりお勧めはしませんが、パーティの強さとモンスターの強さにあまりにも差があった場合は、セッションの途中でモンスターの数を変更したり、種類を変更することでバランスを調整します。

この方法をあまりお勧めしないのは、プレイヤたちが上手くセッションを進めた場合でも失敗ばかりした場合でも同じような進み方になってしまうからです。本来であれば、プレイヤたちが上手く進めれば少ない損害で見返りが大きくなり、下手に進めたらたくさんの損害が出て見返りが小さくなるべきです。そうでないと、自分たちが上手くやっているのかそうでないのか実感しずらく、プレイヤたちのモチベーションを奪ってしまいかねません。

 

 

第7章 手がかり

 

手がかりの役割

はじめて作ったダンジョンシナリオでは、その場で目にできる以上の情報は何も設定していませんでした。それでも十分楽しむことは出来ます。部屋に配置したモンスターとの戦闘がゲームになっているからです。

でもそれなら、何もシナリオなんて作らなくても、極端な話ですが PC とモンスターの戦闘だけやっていればいいのではないでしょうか? ダンジョンをシナリオとして意味のあるものにするには、ゲームとして楽しめる部分をモンスターのいる部屋の外、通路やモンスターのいない部屋にも広げなければなりません。

では具体的にはどうすれば通路だとか空の部屋を楽しめるようになるでしょう? そのひとつの方法が「手がかり」です。

最初に作ったダンジョンのように、通路に分岐があったらパーティはどちらを選ぶでしょうか。おそらくはあてずっぽうか、プレイヤの好み(性格)で決まることでしょう。それはそれでびっくり箱みたいな楽しさはありますが、ゲームとしてはいまいちです。

『カタンの開拓者』や『モノポリー』といったボードゲームでは、盤上の駒の配置や自分の資金、相手のリソースなどの情報を元にアクションを決めます。

このように、与えられている情報から先の展開を推測し、意志決定を行うのがゲーム的な楽しみです。TRPG のダンジョンシナリオでもそこは一緒です。そのためには進路を選ぶ前にプレイヤたちが何らかの手がかりを持っていなければなりません。

 

手がかりの種類 五感が働く

大きな物音、暗闇の中の光、鼻をつく異臭などは、キャラクタがそ こにいるだけで自然と飛び込んでくる情報です。慣れないプレイヤが多い場合は特に、積極的に情報を与えていきましょう。

通路の先から光が漏れていれば、その先には火を使えるような(暗闇で目の不自由な)知的な生き物がいる可能性が高いでしょう。喧騒や大きな足音、金属音などが聞こえてきたら、そこにはモンスターがいそうだというのが分かります。

離れた場所から人間にも嗅ぎ分けられるような強烈な匂いを放つ怪物は多くないかもしれませんが、それだけに腐敗臭や獣臭さはプレイヤたちに強く印象づけることができます。

 

観察する

ダンジョンの一部分に注意を働かせ観察することで手に入る情報もあります。

パーティが足を止めて耳を澄ましたり、扉に耳を当て聞き耳を立てる事で、扉越しに部屋の中の微かな足音が聞こえてくるかも知れません。それによって、どんな怪物がいそうか、どれくらいの数がいそうかを推測し、事前に対策を立てたり、どちらに進むかを決めたりできます。

また、通路の床に残っている消えかけた足跡や小さな引っかき傷なんかも手がかりとなります。足跡があればその大きさや形・数から推測できることがたくさんあります。

反対に、足跡も無く埃が積もっていれば、その先には何も無いか、ダンジョンの住人でさえ近づきたくないような何かが潜んでいるという警告になります。

 

尋問する

入り口付近の部屋にいるモンスターと意思疎通が可能であれば、殺さずに捕まえて尋問することで奥の情報を聞き出すことができるかもしれません。

奥の部屋にいるモンスターの種類や数、ダンジョンの地図、宝物の場所などを知っている可能性があります。入り口の下っ端は奥の部屋には入れてもらえないなど、断片的なことしか知らないかもしれません。

もしどうしても捕らえられたモンスターから情報を引き出されたくなければ、入り口付近には知能が低く喋れないモンスターを配置しましょう。

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