最新更新日:

2001/04/18


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氷川TRPG研究室

Ordo Nobilis

初   出:1999/08/10
最新更新日:1999/08/10

Product Number: AG263
ISBN: 1-887801-82-0
定価: $25.95
デザイナ: Michael de Verteuil, Ian Hargrove, Robin Steeden

章構成

  1. Noble Society
  2. Characters and Status
  3. Law
  4. Leisure
  5. Chivalric Combat
  6. The Realms of Mythic Europe
  7. A Bad Knight Work
  8. By the Law of the Land
  9. On the Respective Merits of Twilight and Glooming

Appendix Bestiary


Cover Illust.第1章 貴族制度(Noble Sciety)

 第1章では,王権,貴族階級(爵位),騎士団,官僚,力関係などが解説されています。
 こう書くと,「ふーん」という感じですが,実際には王権一つをとっても7ページが割かれて王権のさまざまな性格について複数の角度から検証しています。ローマ帝国の後継者としての王,部族の長としての王,聖書に記される王,王と神の力,聖性,奇跡を行なう王,王の官僚,法的権威,王族,などなど。
 力関係に関するコラムには,貴族と庶民,大人と子供,自由人と非自由人,男と女などのように,中世においてはそれぞれがどのような優位性を他方に対して持っていたかが書かれていて,なかなか興味深いです。
 また,官僚のセクションでは,王の擁する官僚にどのような人々がいるのかについて書かれており,とても役に立つんではないかと思います。中世にどのような官位があったかって,概説書には載っていませんし,知らない人が多いんじゃないかと思いますから。

第2章 社会制度とキャラクタ(Character and Status)

 第2章はよくわからん構成になっていまして,前半では土地制度,貨幣制度に関する解説があり,後半では追加および修正となった「美点と欠点」と経験点に関するルールが掲載されています。そういえばこの経験点ルールは,Berkeleyのメーリングリストで物議を醸し出していました。よく読んでいないので,詳細については不明。

第3章 法(Law)

 この章は中世の法に関する概説になっていまして,各種法に関する概説(ローマ法,教会法,部族法,封建法,慣習法)に始まり,裁判制度,刑罰などに関する解説があります。

 面白いのが,法廷での争いをプレイしてみよう,とルール化されている部分です。交渉関係の特性値や能力が影響するほか,身分があからさまに影響します。

第4章 余暇(Leisure)

 この章では,余暇に関する解説ということで,饗宴,狩猟,競争,女性の楽しみ(音楽,刺繍,宮廷愛),語り部,冒険について解説されています。

 このうち,狩猟に関してはルールが整備され,その中には追跡に関するルールも含まれ,狩猟に限らず使えそうなので要チェック。
 また,余暇とはちょっと違うような気もしますが,地域知識に関する能力のルールが最後のほうでこっそり整備されていまして,これも見逃せません。村レベルでの地域知識,町レベルでの地域知識,地方レベルでの地域知識など,広さによって6段階に分けられ(一番広いのは「伝承ヨーロッパ知識),例えば,村レベルの知識だと,狩や釣り,隠れるのにいいポイントだとか,言い伝え,この村の人間関係・親族関係,土地の所有者,慣習などを知っていることになっています。このように,「地理」「歴史」「政治」「個人」「法」の5つのカテゴリィに分けて規定されています。

第5章 騎士の戦い(Chivalric Combat)

 この章は追加ルールがたくさん載っています。もちろん,章タイトルからわかるように,戦闘に関するルールです。戦闘ルールオプションとして,鎧,疲労,負傷,指揮とイニシアチブ,武器技能,馬と騎乗戦闘,トーナメント,大規模戦闘,城などです。

 また,ルールではありませんが,章の一番最初には典型的な騎士の戦いといわれる1214年の「ブーヴィーヌの戦い」が地図つきで解説されています。

第6章 「伝承ヨーロッパ」の国々(The Realms of Mythic Europe)

 この章は「伝承ヨーロッパ」の王国のガイドになっています。ブリテン島およびアイルランド,イベリア,フランス,といったように,地域ごとに解説が付されていますが,当然政治・軍事を中心とした解説になっています。また,1220年における各地の支配者の名前が掲載されており,なかなか重宝しそうです。

第7章 「悪しき騎士の行いに」(A Bad Knight's Work)

 この章はミニシナリオです。1220年代,シャンパーニュ地方のトロワで開かれた歳市が舞台になっています。主人公は騎士,というのはまあ当然なのですが,このシナリオでは,マギは使うな,と指示されています。クライマックスはやはりトーナメントです。

第8章 「この地の法によりて」(By the Law of the Land)

 この章もシナリオです,というか次の章もです。こちらのシナリオは,マギもOK。領主とか法廷とか,やはりこのサプリメントに関係した事柄が多数登場します。

第9章 「黄昏と薄暮の勲功に」(On the Respective Merits of Twilight and Gloaming)

 シナリオなのであまり書けないのですが,このシナリオも貴族がらみです。第4章で解説されていた狩猟が関係してきます。

動物寓話集(Appendix I: Bestiary)

 モンスタデータが多少載っております。騎士,兵士,馬,猟犬などです。


 Ars Magica のサプリメントを紹介するとたいてい私は「買いだ」と言っているのですが,今回の Ordo Nobilis も買いでしょう(笑)。追加ルールも結構載っていますし,よくわからん中世の社会に関する情報も豊富です。おまけにシナリオも3篇ついており,短いシナリオなのでまとまっていてプレイしやすそうです