脳はなぜ「心」を作ったのか
タグ: 科学技術
- 登録日
- 2015/1/20 11:44
- カテゴリ
- 一般
- ISBN
- 4480427767
- 感想
たまたま本屋で手にとって買いましたが、発行は2004年と結構前です。
脳と心、「知」「情」「意」「記憶と学習」「意識」の成り立ちと関係を探っている本で、「受動意識仮説」と呼ばれているようです。
本書は一般向けに分かりやすく書かれた解説本ですし、僕は全くの門外漢ですので、この仮説がどの程度正しいのか全く分かりませんが、筆者が「心の地動説」と呼んでいるように、確かにそう考えるといろいろ納得しやすい、という点で地動説という呼び名はふさわしいかも。
手を動かす時、「動かそう」と思う前に脳から手に動くよう指令が出されている、というリベットの有名な実験は池谷裕二の本で読んで知っていましたが、その実験結果を元に、じゃあなぜ意識なんてものがあるのか、を、そして「知」「情」「意」「記憶と学習」「意識」の役割・位置づけを概観して見せてくれます。個人的にはエピソード記憶のために意識が必要とされた、という説明がハイライト。
そしてこの受動意識仮説を元に、
- 〈私〉の不思議
- バインディング問題
- クオリアの問題
という脳と心にまつわる難題を説明しています。
どちらかと言うと比喩を多用して理解させよう、わかりやすくしようと書かれていますので、具体的な、細かい仕組みについては書かれていませんし、根拠となる実験や証明にもほとんど触れられていません。ですので本書だけではその妥当性は判断つきかねるのですが、この分野に興味があって、リベットの実験とか知らない方は、一度読んでみるととても面白いと思います。
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