ルワンダ中央銀行総裁日記 編集

タグ: ドキュメンタリ

登録日
2011/3/17 14:33
カテゴリ
一般
ISBN
4121902904
感想

あちこちで高い評価を見かけ読んでみましたが、その評判に違わぬ面白さ。

リアル版まおゆうみたいな感じ?(まおゆう、触りしか読んでないのでわからないですが)

本書は、1960年代後半から、アフリカの小国ルワンダの中央銀行総裁を6年にわたり務めた服部正也氏の回想記です。

当時、ベルギーから正式に独立したばかりの、正に何も無いルワンダで服部氏は奮闘します。

二重相場制の弊害、圧倒的な人材の不足、全く足りていない外貨、植民地時代からの(無能な)外国人の利権集団、乏しく貧弱な産業など、どれをとっても難題で、正に途方にくれそうな状況です。人もいない、金もない、技術もない、制度もない、情報は不正確でデマが多分に混じっている、そもそも自分の寝食にも苦労するという中、著者は20年からの日銀での実務経験を活かし、状況を見極め、的確に判断し、優先順位をつけてこなしていきます。

 

人材も、制度も、物資もない状態での活動が描かれるわけですが、それだからこそ、中央銀行がなんのために存在するのか、何を最も優先して活動しているのかというのが本書によりよくわかります。

そうして6年に渡る任期を終え、ルワンダ発展への筋道をつけて帰国するのですが、最後にそれまでの様々な施策が実を結ぶ様はハッピーエンドの小説を読んだような爽快感でした。ただ、その後ルワンダがたどることになる穏やかならぬ道を知ると、なんとも言えない気持ちにもなるのですが。

評価
5