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2001/04/19


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氷川TRPG研究室

1. コヴナントを創ろう

初         出:1999/02/14
最新更新日:1999/02/14


 総勢十余名を擁し一年をかけて翻訳したArs Magicaを,ついに遊ぼうという日が迫ってきまして,とりあえず,キャラクタでも試しに創ってみるかということになりました。

 そこで,まずキャラクタシートを日本語に直す作業があります。これはMicrosoftのパワーポイントを使って作成し,一部はPDF化して公開してあります。こーゆー作業は結構好きで,レイアウトが気に入らんとかいじって,気づくと夜も更けていたりします。

 Ars Magicaの大きな特徴の中に,「コヴナント」という概念があります。これは,マギたちの拠点となるべき場所で,PCたるマギは普段ここで暮らしています。実に様々な形態を取り,良くある塔のほか,城,館といったまともなものから,木の上,馬車の中,船の上といった怪しげなものまであります。
 話を戻しますが,キャラクタ用の記録用紙は基本ルールに掲載されており,日本語化するにあたってはこいつを参考にすれば良かったのですが,コヴナントのほうは記録用紙がありません。そんなわけで,ルールブックを見ながらの自作となりました。

 →コヴナント記録用紙

コヴナントの解説

 ここでもう少し詳しく,コヴナントについて解説しましょう。
 Ars Magicaでは,コヴナント作成についてもルール化されています。だから記録用紙が必要なのですが。

コヴナントの「季節」

 コヴナントを作成するにあたっては,まずコヴナントの「季節」を決めます。「季節」は,春夏秋冬があり,コヴナントの一生を表しています。「春」のコヴナントはできて間もないコヴナントで,力は弱いし欠陥だらけの代物です。「夏」のコヴナントになりますと,発展していく中で魔術的にも経済的にも力を蓄えてきて欠陥が少なくなり,勢いのある状態にあります。「秋」のコヴナントは,コヴナントの一生の中で最も力が強くなった爛熟の時代です。「冬」のコヴナントは,盛りが過ぎて萎みつつあるコヴナントです。この後は消滅したり,「春」のコヴナントに分裂したりします。減衰形継承でしょうか。

コヴナントの特徴

 「季節」が決まりますと,コヴナントのおおよその強さが決まります。
 強さはポイントで表され,GURPSなどでお馴染みの,ポイントを消費して有利な特徴と不利な特徴とを購入していくという作業を行います。たとえば,「春」のコヴナントですと,有利な特徴を20ポイント,不利な特徴を50ポイント分取らなければなりません。一方で,「秋」のコヴナントになると有利な特徴を80ポイント,不利な特徴を20ポイントというようになります。
 コヴナントの特徴は,次のようになっています。
  • 立地
    • 入手性:物資の入手が簡単か。
    • 隠遁:コヴナントを訪れる人の頻度。
    • 環境:老化ロールに影響。
  • 建造物
    • サイズ:コヴナントの収容人数。
    • 品質:建物の質。
    • 補修:建物の整備具合。
  • 防御
    • 地形:防御に適した地形か否か。
    • 設備:防御施設の充実度。
    • 補修:防御施設の補修具合。
  • 財産
    • ウィース:ウィース(魔力の塊)の蓄え。
    • 物資:貯蓄状況。
    • 評判:周囲の評判。
  • 関係
    • 盟友:味方になってくれる存在。
    • 敵対:敵対する存在
    • 情報:敵に関する情報/内部スパイ。
  • 発展
    • 収入:定期収入。
    • ウィース:年間で手に入るウィースの量。
    • 住人:コヴナントに住んでいる人の数。
  • 図書館
    • 呪文:呪文書の蔵書。
    • ヘルメス文書:魔術書の蔵書。
    • 一般書:知識などの書かれた書物。
  • 魔術
    • オーラ:コヴナントが放つ魔術的なオーラの強さ。
    • 魔術物品:所有している魔術物品。
    • 研究室:マギの研究室の設備。

コルトテイン コヴナント

 さて,簡単な解説が終わったところで,実際にこれからのプレイで使うべく,「春」のコヴナントを創ってみました。名前は,「コルトテイン」。場所はだいたいイングランド北西部のウェールズに近いあたりにしました。時代は Ars Magica 世界標準の1221年。

 で,結果なんですが,「マイナスの50ポイントを使いきるのって難しいなぁ。」
 出来上がったのは,かなりぼろぼろのコヴナントです。これはたぶん,創り方が悪かったんじゃなくって,「春」のコヴナントがそもそもこういうものなんだと思います。

  • 建物の状態は良くありませんし,ろくに補修も行われていない。
  • 辺鄙なところにあって人は来なくて良いけど遠くまで出かけないと物資が手に入らない。
  • 周りが森で視界が悪い上にコヴナントを見下ろすことのできる丘があって「守るに難く,攻めるに易い」。
  • 1000ポンドもの借金を抱えて,周囲の住民からは相当不信の目で見られ,いつ排斥運動が起きるか知れない。
  • 「秋」のコヴナントを敵に回している。
  • ウィースはなかなか手に入らない。
  • こんなところで働いてくれるグロッグはあまりいない。
  • 蔵書は総じて貧弱。
 さあ,プレイヤー諸君,がんばって働いてこのぼろぼろのコヴナントを大きく成長させようね,という感じのゲームになりそうです。