最新更新日:

2000/04/15


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氷川TRPG研究室

4. キャラクタの成り立ち

初         出:1999/03/01
最新更新日:1999/03/01


 RPGのシステムを把握するのに最も効率的な方法は,実際にキャラクタを創ってみることです。私はそう思います。
 実際にキャラクタを作り始めれば,あれこれ特徴を選ぶのに迷っているうちにどんな能力・技能・特徴が用意されているのかをだいたい覚えてしまいますし,ゲーム的に有利なキャラクタを模索していく中でだいたい各種数値はどれくらいの範囲に収まるのか,技能10というのはどれくらい強いのか,といったことが見えてきます。強いキャラクタを創るにはルールを知らなければ話になりませんから,ルールにも目を通して覚えていくことでしょう。

 今回は,そのキャラクタ作成についてです。

 Ars Magica のキャラクタは,それぞれ次のような項目を決めて創っていきます。

  1. キャラクタのタイプ
  2. 流派/職業
  3. 特性値(Characteristics)
  4. 美点と欠点(Virtues and Flaws)
  5. 能力(Abilities)
  6. 魔術(マギのみ)
  7. 仕上げ(評判・特徴・癖・自信・サイズなど)
 このうち,1. と 2. については前回解説しました。
 今回は,3. 以降について解説していきます。

 そのまえに,キャラクタ作成の大まかな話をしておきましょう。
 Ars Magica では,基本的にはダイスを使わずに,与えられたポイントを消費してキャラクタを作っていきます。GURPSを代表とした多くのRPGで採用されているのと同じような方式です。つまり,能力,技能,財力,性格など,キャラクタに有利な設定にするとポイントを消費し,逆に不得意な能力,不利な性格などを設定するとポイントをもらえる,という方式です。
 ただし,GURPSとは少し違って,ポイントは各項目毎に何点,というように与えられています。たとえば,特性値には7点,能力値には年齢×2点,美点と欠点には±10点,といった具合です。GURPSに比べると自由度は低くなっていますが,初めて作る人にも分かりやすくなっていると言えます。

特性値(Characteristics)

 【特性値】というのは,他の多くのRPGでは,「能力値」と呼ばれているパラメタで,キャラクタの素質を表すものです。

 【特性値】には,

  • 【知性】(Intelligence)
  • 【知覚】(Perception)
  • 【筋力】(Strength)
  • 【体力】(Stamina)
  • 【交渉】(Communication)
  • 【魅力】(Presence)
  • 【器用】(Dexterity)
  • 【反応】(Quickness)
の8種類があり,それぞれ−3〜+3までの値を取ります。ただし,のちに説明する『美点と欠点』の中には,+3の能力値を+5に上げる美点がありますので,これによって常人の【特性値】の最大値は+5となります。

 これらの【特性値】は,オーソドックスに技能の値に加えられて使われます。
 判定の基本は,[【特性値】+技能+1D10]なので,特性値の影響がどれくらいあるか,わかりますか?D&Dは同じく±3の範囲で,使うダイスは1D20です。RQですと,人間なら最大でも+2(実際にはRQで使うダイスは1D100なので+20だけど)がせいぜいだと思いますので,【特性値】の影響は大きいほうといえるのではないでしょうか。

 【特性値】の決め方は,7点を−3〜+3の範囲で好きに割り当てるというものです。【特性値】を合計して,7点に収まるようにすればいいのです。

美点と欠点(Virtues and Flaws)

 GURPSでは,「特徴」と呼ばれているものです。「美点と欠点」は,マギ用,コンパニオン用,グロッグ用,一般用に分かれ,合計が±0になるように選びます。「美点」を合計で6点取ったら,「欠点」も合計で6点取らなければなりません。
 ただし,マギおよびコンパニオンは最大で10点まで,グロッグは3点までしか取ることはできません。

 コンパニオンのキャラクタを作る場合は,ここに一番苦労するでしょう。テストで創ってみましたが,この部分はイマイチな気がします。というのは,選ぶことのできる「欠点」が少なすぎるのです。このときは5点の「欠点」をとるのに相当苦労していたので,最大限の10点分の「欠点」を取るのは生半可なことではありません。どうも似たような欠点を備えたキャラクタがぞろぞろと出てきそうな気が(^^;
 マギの場合は,マギ用の「欠点」が割と取りやすく数も多いので,コンパニオンに比べれば楽です。その代わりマギには呪文の選択という大変な作業が後に控えていますが。

能力(Abilities)

 Ars Magica の<能力>は,他の多くのRPGでは「技能」と呼ばれているパラメタです。
 <能力>はさらに「才能」「技能」「知識」に分類されます。どう言う意味があるかというと,どうやれば数値が上昇するかと,その「能力」を持っていなかった場合にどうなるかが違っているのです。たとえば,「才能」は生まれつきのもので実際に使うことでしか伸びませんが,「技能」は訓練によって伸ばすことが可能です。

 「能力」は,マギ以外は年齢×2点分,マギはだいたい年齢点分の経験点を配分して決めます。マギは「能力」が低いように見えますが,「不老の秘薬」(Longevity Potion)という延命術を使えますので,場合によってはコンパニオンより経験点が大きくなります。

 <能力>には,中世ヨーロッパらしいものも含まれています。たとえば,<議論>(これは中世の大学で行われていた教育方法の一種です)ですとか,<ラテン語会話><自由学科>(学問の基礎となる七科。文法,論理学,修辞学,算学,幾何学,天文学,音楽)といった<能力>があります。

魔術

 マギのキャラクタは,続いて魔術の能力も決めることになります。
 決め方は<能力>と同じで,150点の経験点が与えられるので,これを15種類ある術法に配分していきます。

 それが終わったら,呪文を150レベル分選んで取ることになります。だいたい15レベルから30レベルくらいの呪文を取ることになりますので,覚えている呪文の数は5−10種類くらいという計算になります。

 たぶんマギにとっては一番大変な作業になるでしょう。

仕上げ

 評判・特徴・癖・自信・サイズなど,こまごまとした値を決定し,戦闘値などを計算します。ここで決める値はあまりなく,何か特別な《美点》や《欠点》をとっていない限りは自動的に決まります。

 プレイヤーはそろそろ疲れて果てているので,ここにきて面倒くさい計算を嫌がる,という様子が観察できるかもしれません。

そのほか

 ここにきて,まだ気力の残っているタフなプレイヤーは,「装備を買いたいんだけど」と言い出すかもしれません。逆に疲れた〜というプレイヤーは,実はまだ装備を決めていないことに気づいていても何食わぬ顔で「完成,完成」とか言っているかもしれません。じつは,Ars Magica 第四版には値段に関することはほとんどまったく載っていません。今のところ確認されているのは,武具に関して「高価・標準・安価」というほとんど参考にならない大雑把な分類があることと,地所持ちの騎士(Landed Knight)は,年間2000ペニィの小遣いを持っている,ということだけです。

 仕方がないので,私が第三版その他の資料をもとに物価表(PDFファイル)を作成しました。掲載してありますので,良かったらお使いください。

 以上で説明したキャラクタ作成については第二章に載っているのですが,後の章を読んでいくと,マギにはまだやらなければならないことが残されているのに気づくでしょう。そう,「使い魔」を創らなければならないのです。普通のキャラクタに比べれば簡略化されているとはいえ,「使い魔」もいちおう特性値やら特徴やらを備えているわけで,勘弁して,という感じです。

まとめ

 Ars Magica では,キャラクタを創るのは結構大変な作業です。標準のルールでは,マギ一人(+使い魔一匹),コンパニオン一人(さらにグロッグを数名)を創らなければならないのです。ですから,あらかじめネット上でキャラクタの概略について話し合っておくとか,一人は作ってきてもらうとか,一日をキャラクタ作成に充てるといった配慮が必要になるでしょう。