The Dragon and the Bear

初　　　出：1999/09/14
最新更新日：1999/09/14

Product Number: AG0260
ISBN: 1-887801-71-5
定価: $23.95
デザイナ: Simon Shoul

Cover Illust. 　"The Dragon and the Bear" は，第4版用のサプリメントで，1999年の春に発売されました。
　マギたちの組織「ヘルメスの掟団」は，地理的にいくつかの「管区」(Tribunal) に分かれて統治されています。このサプリメントは，その管区のうちノヴゴロド管区(Novgorod)を扱ったサプリメントです。どんな管区があるかについては，基本ルールの第10章に概略が載っていますので，そちらを参照してください。
　これまでにもTribunalを解説したサプリメントとして，ローマ管区，イベリア管区，ロッホ＝ルグラン管区の各サプリメントが出ています。
　新しく出たUltima Thule（北欧）といい，今度出る予定のStone Hengeといい，なんだか最近はヨーロッパ北部にシフトしているような気がします。昔はローマ，イベリア，アフリカと，南のほうだったのに。一番メジャーなフランス，ドイツあたりを扱ったサプリメントがちっともでませんね。

　ノヴゴロド管区は，地理的にはロシアの諸公国，ポーランドを扱っています。文化的にはスラヴ圏。

　章立ては，次のとおりです。

はじめに
スラヴ
スラヴに伝わる魔術
スラヴ地方の妖精
「ヘルメスの掟団」の置かれている状況
モンゴル
サガ

これに，Appendixとして，

　　I.　シャーマン
　　II.　スラヴの神々
　　III. 秘宝
　　IV.　名前

が付きます。
　では，もう少し詳しく各章を見ていきます。

　第2章（第1章はいいでしょう）では，ノヴゴロド管区を大きくロシア，ポーランド，バルト海沿岸諸国の三つに大きく分けて，それぞれの歴史について書かれています。町の名前などの固有名詞が出てくるのですが，なんと発音していいのかよくわからないところがつらいです。

　第3章では，スラヴの魔術ということで，まずVolkhvyという神官についてキャラクタの作り方などが説明されています。Volkhvyは独自の魔術を使うことができ，Disciplineと呼ばれます。
　Disciplineには，以下のようなものがあります。

Spirit Touch
Healing
Shapeshifting
Weatherworking
Animal Magic
Removing Curses
Prophecy
Sun Magic
Earth Magic

全体的に，自然にまつわる魔術が多いようですね。

　第4章は，スラヴの妖精という題がついていますが，要するに Bestiary になっています。スラヴの妖精はもちろん，竜や巨人，吸血鬼などが載っています。

　第5章は，スラヴの地における「ヘルメスの掟団」の活動およびその歴史が書かれています。むかしは，Volkhvyの力が強く勢力を拡大できなかったところが，キリスト教がこの異郷の神官を駆逐したおかげで掟団も勢力が伸ばせるようになったようです。
　上のような概観に続いて，

Three Lakes Covenant
Thousand Caves Covenant
Pripet Maior Covenant
Leczyca Covenant

という4つのコヴナントが，この地のコヴナントの例として住んでいるマギとともに挙げられています。

　第6章は，モンゴル帝国についてです。Ars Magica 4 版の年代設定が1220年ですから，モンゴル帝国が爆発的な膨張をはじめる頃です。Ars Magica のキャンペーン（サガ）であれば，マスターが歴史に忠実に物事を進めていくと，PCたちはやがてこの凶暴な騎馬軍団にであることになるでしょう。

　Appendix 1の「シャーマン」では，9ページを割いてシャーマンのキャラクタの作成から，その能力までを解説しています。このサプリメントの目玉のひとつなのかもしれない。