リーマン・ショック・コンフィデンシャル 編集

タグ: 一般

登録日
2014/4/9 15:29
カテゴリ
一般
ISBN
4150504016
感想

リーマン・ショック前後に、ウォール街のCEOたち----リーマン、メリルリンチ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、AIG、シティ、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ----、政府の関係者----財務長官ヘンリー・ポールソン、ニューヨーク連邦準備銀行総裁ティモシー・ガイトナー、FRB(連邦準備制度理事会)議長ベンジャミン・バーナンキなど、そうそうたる面々が何を考えどう行動したかを、議事録、メール、メモ、日程表、そしてヒアリング等から再構成したのが本書であり、実に生々しいやりとりが描かれている。

僕などは全くの門外漢なので良く分からない箇所も含まれているわけですが、一見安泰と思われる巨大な投資銀行が、弱い順に連鎖的に倒れていき、前日まではライバル会社を見捨てるような行動をとっていた銀行が、翌日には「次は自分の番だった」と慌てて走りだすさまなど、結末をある程度知っていながら、面白く読めます。

リーマンを始め、潰れそうな銀行は合併先を探すのですが、とにかく時間がない(72時間以内に合併が成立しないと潰れるとか、来週火曜日までしか持たないとか)上に、刻一刻と株価は下がり、不良債権は積み上がっていくような状況で、しかもなるべくいい条件の合併相手を探さねばならず、一瞬の間、躊躇しているうちに別の銀行と合併してしまったとか、もう完全にパニック状態です。

リーマンが潰れ、AIGとメリルリンチがなくなり、いよいよモルガン・スタンレーがやばくなり、シティやゴールドマン・サックスにも危機が訪れる、そのぎりぎりのところでモルガン・スタンレーに出資して食い止めたのが日本の三菱東京UFJ銀行なのですが、三菱から90億ドルの小切手(!)を受け取った直後のモルガン・スタンレーの役員の叫びは、なんというか感慨深いものがあります。

かなり分量がある上、登場人物がやたらと多いので読み終えるのは骨ですが、読み応えのある作品です。

評価
4