2014/1/5 2:34

『ゲームメカニクス』(1)ゲームメカニクスのデザイン

タグ: TRPG ゲーム 考察


ゲームメカニクス  おもしろくするためのゲームデザイン (ゲームデベロッパー)
アーネスト・アダムス Ernest W. Adams ヨリス・ドーマンズ Joris Dormans
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『ゲームメカニクス -- 面白くするためのゲームデザイン』は、2013年4月に和訳された書籍で、ゲーム全般の仕組みについて分析し、面白いゲームをデザインするための理論を提供しています。

友人がバンダイナムコスタジオにいて本書の監修に関わっていたので購入し、そのためコンピュータゲーム関連のデザインの本かと思っていたのですが、実はそんなことはなくボードゲームやカードゲームなど、ゲーム全般のデザインに関する本でした。

まだ章立てと序章に目を通したくらいですが、非常に面白そうなトピックが並んでいますので、少しずつ読み進め、内容をメモしていこうかと思います。僕は主にTRPGを遊びデザインするので、TRPG に当てはめた場合のコメントも付記していきます。

というわけで、まず第1章から。

第1章 ゲームメカニクスのデザイン

ルールはゲームを定義する

ゲームの本質的なフィーチャはルールである、というのがいくつかのゲームに関する書籍から引用で示されている。

ゲームは予測できない

コスティキャンのいうところの「ゲームはパズルではない」っていうのとだいたい同じでしょうか。予測不可能性を生み出すための方法として、


  • 偶然(ダイスやカードなど)
  • 対戦相手
  • 複雑なルール

の3つが挙げられています。これは僕の分析と一緒。TRPGの場合、少数の例外を除いて「対戦相手」は方法として使えないため、代わりにマスター(のシナリオ)が使われています。ただし、毎回手を変えてくる対戦相手と違ってシナリオは原則として固定的なので、繰り返し遊ぶには向いていません。

ルールからメカニクスへ

メカニクスということばについて。説明的に記述されるルールに加え、コマやカードに与えられている数値や効果、それからプレイヤからは隠されているコンピュータゲームの処理などすべてひっくるめたものを「ゲームメカニクス」と呼んでいる。この用語は、本書だけでなく割と一般に共有されている用法だと示唆されています。ふむふむ。

5種類のメカニクス


  • 物理(物理演算に代表されるようなアクションゲームで重要となる動き)
  • 内部経済(アイテム、能力、金などのリソース管理)
  • 進行型のメカニズム(レベルデザインやシナリオの進行など)
  • 戦術的な操作(地形効果や挟み撃ちなど)
  • 社会的インタラクション(ゲーム中のコマやキャラクタから離れ、プレイヤ間でのやりとり。モノポリーの交渉や、MMOの共同戦線などが該当)
TRPG(システム)ではおおむね、「内部経済」が一番詳細にデザインされ、「戦術的な操作」が戦闘ルール関連に組み込まれ、「社会的インタラクション」がロールプレイの評価(『天羅万象』の合気チット、セッション後の評価)やプレイヤ間の分担などに使われていると言えるかと思います。
そして、「進行型のメカニズム」はシナリオが分担しますが、サイコロ・フィクションや PARANOIA などのゲームでは、一部ルールで提供されますね。

離散的メカニクス vs 継続的メカニクス

「継続的」という訳語がちょっと気になる(笑)。普通「連続的」じゃないかな?

離散的、というのは飛び飛びの値を取るといった意味で、例えばマップで言うと、マスやヘクスで区切られていてその単位で動かすのは離散的、それがなくて自由に位置取りできるのが継続的(連続的)です。厳密に考えれば、連続的に見えても pixel などの単位で動かしてたりするのですが。

離散的メカニクスのほうが新しいゲームを作りやすく本書では主にこっちを扱う、と書かれています。本書では、継続的メカニクスは物理メカニクスと強く結びつけて説明されているため、TRPGのメカニクスは本書で扱われる離散的メカニクスにあたると考えていいと思います。

メカニクスとゲームデザインのプロセス


  • コンセプトステージ 
  • 推敲ステージ
  • チューニングステージ

の3つのステージに分けてデザインを進める。

まあ妥当なところだろう。でもって、チューニングステージには思ったより時間がかかるぞ、と警告されている。

プロトタイピング技法


  • ソフトウェアプロトタイピング
  • ペーパープロトタイピング
  • フィジカルプロトタイピング

の3つを紹介。

TRPGだとやはりペーパーが中心となるか。フィジカルでは、LARPが紹介されて、FPS などを作る場合はやってみるといいと書かれている。なるほど。

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