2005/7/17 5:49

妖怪大談義

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\"妖怪大談義\"

京極夏彦先生と妖怪好きな15人の面々との対談集。「怪」に掲載されていたものをまとめたものです。そういえば『姑獲鳥の夏』の映画も公開されました。見に行かねば。
まだ半分くらいしか読んでいませんが,「小説」というフィルタを通していない,京極先生の「妖怪」に対する直の認識が語られていて面白いです。
京極堂シリーズを読んでだいぶん妖怪とか怪異というものに対する認識が改められたと思っていましたが,まだまだでした。この自分の中で認識が変わり再構築されていく感覚はなんともいえない面白さです。

対談の中でも特に,宮部みゆき氏との対談の中で触れられている共同体の「秘密」に関する考察は興味深かったです。
「秘密」の共有こそが共同体を成り立たせているが,それが暴かれることによって国が解体され,村が解体され,さらに一番小さな共同体である家の「秘密」も暴かれ解体されていく,ってお話です。ここで言う「秘密」というのは大げさなものではなく,共同体の中でしか通じないもの,独特の習慣などを指しています。

そうした共同体の中では当たり前の「秘密」が外に出て行くと「変だ」と叩かれる。日本の中では当たり前だったことが外国に行くと「変」になる,自分の故郷では「けった」と呼んでいたものが県外では通じない,フライに当たり前のように醤油をかける人がいて驚いた…。

これは全くもって RPG にまつわる不毛な論争の主因と同じですね。同じRPGを遊んでいても,それぞれのサークルは「秘密」を持ち,共同体として機能している。
しかしその「秘密」を外に持ち出すと …… 衝突するわけです。それはサークルの中でしか機能しないから。
まあよく言われることではあるんですが,それを「秘密」と呼び,共同体を成り立たせるものである,と捉えるのは新鮮でした。
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