2005/11/5 2:27

[キャンペーン] 規模から設計する

タグ: 考察 TRPG 考察

最近めっきり TRPG 関係の話題の比率が低下していますが,時々は書かないと。
次の研究テーマにしようと考えている「キャンペーン」について,当面はあまり構成を考えずに思いついたところから書いて行こうかと思います。

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キャンペーンの全体像をデザインしようとすると,果たして何から手をつけていいか戸惑ったり,やることがたくさんあるように見えて画面や紙を前にただ時間が過ぎていく,というようなことがあります。

実はこれは RPG のプレイ中に発生するある状況に似ていて,それに対する解決策がそのままキャンペーン全体像のデザインにも有効なケースもあります。

そう,「馬場秀和のマスターリング講座」「タイムスケール管理」で述べられていることがそれです。

ちょっと引用してみましょう。

 実際にやってみれば分かりますが、単に「君達は3日以内にある行方不明の人物を捜し出さなければならない」と言っても、プレーヤー達はちっとも焦ってくれません。
 3日という時間制限がどれくらい厳しいのか、あるいは大して厳しくないのか、実感としてよく分からないのです。

 で、「どうしようか」と相談を始めてなかなか動こうとしなくなったり、だらだらと情報収集を続けたり、思いつきでふらふらと行動したり、とにかく緊迫感のないだらけたプレイに流れてしまいがちです。


キャンペーンの全体像をデザインする際も,「あんなシーン,こんなシーンを入れたい」「このNPCを出したい」「雪の広野の冒険を混ぜたい」など,漠然とした「やりたいこと」はいろいろあっても,それらを書き並べるだけではデザインになりません。また,これではなかなかキャンペーンの全体像をデザインするという作業が前に進まないものです。

そこでまず,キャンペーンを実時間でどれくらいやるつもりなのか,考えてみてください。

例えば,実時間で 1年のキャンペーンとしましょう。すると,どれくらいのことがこのキャンペーンでできるでしょう? まだあまりピンときませんね。

ではさらに,その 1年間で何回遊べるかを見積もってみましょう。

僕みたいな社会人だと,2ヶ月に 1回くらいしか集まれないことが多いでしょう。すると,このキャンペーンのプレイ回数は 6回程度です。つまり,やりたいことを 6回のシナリオに詰め込んでいかなければならない,という事です。
1回目は主要な登場人物の顔見せ,最終回はラスボスとの戦闘とすると,実に間は 4回しかありません。

もちろん,期間を伸ばす,頻度を上げるなどしてプレイ回数を増やして解決してもいいわけですが,限られたリソース(プレイ回数)の中に如何に「やりたいこと」を盛り込むか,「やりたいこと」を効果的に見せれるか,「実はどうでもよかったこと」を見つけ削るか,という作業にこそデザインがあり,キャンペーンを洗練させるチャンスがあるのです。
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