2005/11/15 14:39

不完全さをデザインする

タグ: TRPG ウェブ 考察


対称にできるのに,わざとちょっと崩す。完璧になれるのに,一部だけ欠けている。その微小な破壊行為が,より完璧な美を造形するんだよ。
森博嗣,『封印再度』


先日のエントリに書いたとおり,Xoops Cube は年末くらいに Version 2.1 となり,今までは Cube になっても素人目には「あまり変わらないなあ」という感じだったのですが,ここでコアからがらりと変わるんだそうです。
そのコンセプトが,メインプログラマの minahito さんの最近のブログで語られています。こことかここです。

「完全」を目指す意志がより高いレベルの完全を体現する,という話は時々目にしますが,Xoops Cube 2.1 では実際にそれをソフトウェアの設計思想として取り入れてしまっているという,うーん,凄いの一言です。

TRPG というゲームも,狙ったものかどうかは分かりませんが同様の構造を持っていて,馬場さんが書かれているように不完全なゲームとしてユーザに提供されています。
僕がTRPGを始めて未だにやめずに続けているのは,この不完全さに取り憑かれたからと言ってもいいでしょう。
楽しみがすべてそこにあるわけではありませんが,ほかに楽しいことがたくさんある中で TRPG を続けている最大の理由は「不完全さ」です。「もっと良くなるはずだ」という幻想が,今でも僕を引っ張っています。

僕がプレイヤよりもマスタのほうがどちらかというと好きなのも,マスタのほうが不完全な部分が多いからです。
プレイヤからみた RPG の不完全な部分というのは,キャラクタを作り終わった時点で大半は終わっています。Magic: the Gathering でデッキを組み終わった時点で勝負の半分が終わっているのと同じですし,数学で解法が分かって後は計算していくだけ,という感覚とも似ています。
blog comments powered by Disqus