シミュレーションで迫る古代社会

科学・技術 公開日: 2005-12-25
科学技術

日経サイエンス 2006年1月号 日経サイエンス 2006年1月号「シミュレーションで迫る古代社会」より。 考古学というと地面を掘って土器の欠片を探して,放射性炭素年代測定にかけて,といったイメージを持っているんですが,本記事では,まったく別のアプローチで古代社会を探っていこうという試みが,コンピュータ関連技術の発達にともない生まれてきたことを紹介しています。 そのコンピュータ関連技術とは,ひとつは安価で高速なコンピュータそのものであり,もう一つがオブジェクト指向言語です。 本記事で紹介されているアプローチは,考古学的なデータをもとに当時の社会を構成員単位(記事中では「家族」を単位としている)でモデル化しプログラムして,時間の経過とともに構成員が互いに影響を及ぼしながら全体としてどう社会を形作っていくか,をシミュレートして探っていく,というものです。 構成員のプログラミングについて,ちょっと具体例を挙げると, - トウモロコシの栽培量

  • 5人家族を1単位とする
  • 出生率と死亡率
  • 一人当たりの年間エネルギー消費量を設定
  • 「収穫<消費」の場合はもっと豊かな土地をもとめて移住する
  • 娘が15歳になると新しい家族を形成する
  • 住居は農地から1km以内で,泉に最も近い場所に構える

といった条件を設定してオブジェクト(エージェント)として作ってやります。あとは100年,200年と時間を進めてみて,人口の推移や人口密集地域の変化などを追っていくわけで,なんかとても面白そうです。 シミュレーションの結果をもって「古代社会はこうだった」というのは非常に乱暴で無理がありますが, - シミュレーションを動かしてみて今まで気づかなかった事象に気づく

  • シミュレーションの結果と現実とのギャップから,今まで軽視していた要因が実は重要だったのに気づく
  • 今まで重要視されていた要因があまり影響しないことに気づく

といった効用は期待できるかもしれません。 記事の訳者の出口教授のサイトからは,こうしたシミュレーションを行うためのソフト「SOARS」をダウンロードできるようになっており(要ユーザ登録),早速ダウンロードしてちょっと触ってみましたが,複雑な動きをさせるのはそれなりにたいへんそうですね。 しかし,こういったシミュレーションって機能やアルゴリズムは「シムシティ」のようなゲームの方が複雑で進んでいるような気もしますがどうなんでしょうか。まあゲームではパラメタを自由に変更できるようなものなさそうですけど。