2007/9/12 15:19

シナリオ作成における「情報収集」の役割

タグ: TRPG 考察

Accelerator さんのコメントより。
> 情報収集そのものをゲームとする方法論が抽象的に説明され、もっといろいろな
> 具体例をもって整理されたらいいなぁと思っています。

ということで、とりあえず現時点で思いついたことを書きます。まだあまりまとまっていないのと、「情報収集そのものをゲームとする」部分の説明が不足しているのですが。

「情報収集」の役割による分類



一口に「情報収集」といっても、「シナリオにおいてどのような役割を担っているか」という切り口で見ると数種類に分かれる。しかし、シナリオ作成においてこの違いはあまり意識されず、一緒くたに「情報収集」として扱われているように感じる。
そこでまず、この切り口で情報収集を分類し、整理してみよう。


ストーリィの一部

シナリオ目標の提示 → 目標達成に必要な情報収集 → 対決
のように、ストーリィの一部としてシナリオに組み込まれるケース。「対決」に持ち込むために「敵の正体を探る」「敵の居場所を探る」「悪事の証拠をつかむ」といった情報収集が必要となるなど。

コンピュータRPGでは手っ取り早くボリュームを水増しするためにこの手の情報収集が多い(「○×村の誰某がその事を知っているので聞いて来い」とか)が、単純にこの役割しか持たない情報収集はTRPGでは不要というのが個人的な意見。そのような情報は最初からPCは与えられている、で問題ない。


ストーリィの要請

情報収集自体は実はどうでもよく、情報収集を行うことによって引き起こされる「事」が重要なケース。
あるNPCを強く印象付けるために重要な情報を知っていることにして、パーティにその人物と接触させる、情報収集に赴いた場所で(情報収集とは関係ない)事件が起きて巻き込まれる、など。

言うまでも無いが、このような情報収集はゲームではない。
「ゲームではない」のが即イケナイわけではもちろん無く、ゲームとは別の方法論が必要とされる、ということ。とりあえずここでは扱わない。


プレイヤの発想力のテスト

どこで情報を集めるか、どうやって集めるかなどをプレイヤに発想させて楽しませる役割をもった情報収集。

場所であれば「酒場で」「図書館で」「専門家を訪ねて」、人であれば「裏路地の乞食に」「口の軽そうな使用人に」、方法であれば「銀貨5枚を握らせて」「酒をおごりながら」「脅すような口調で」など、状況に対して適切と思われる行動をプレイヤが発想できるかどうかを試す。

これは、TRPG のシナリオではよく見られるが、実のところ「ゲーム」ではない。

発想できなかった場合にシナリオがどん詰まりになる危険性をはらむし、一度発想できてしまったプレイヤにとっては以降は同じ課題が単なる作業になりがちなので扱いが難しい。個人的には避けたほうがよいと思う。


ゲームの一部

ゲームの一部としてシナリオに組み込むケース。
リソース(経費や時間など)をどれだけ費やすかを判断させる、情報収集によって発生する危険(たとえばマフィアのボスについて調査するのはかなり危険だろう)をどこまで冒すかを判断させる、などによって情報収集をゲームの一部としてシナリオに組み込むことができる。



キーワードリンク方式の情報収集



キーワードリンク方式では、上記の「プレイヤの発想力のテスト」という情報収集の在りようを否定している。「どうやって」「どこで」「誰に」といった中間をすっ飛ばして、結果が得られるのがキーワードリンク方式である。
キーワードリンク方式を「いいな」と思ったのはまさにこの点で、「プレイヤの発想力のテスト」で挙げたような危険性を排除できる。僕も排除したいと思っていたが、キーワードリンクほどドラスティックに発想できなかった。

ただ、その点はよいが、単に「ストーリィの一部」として芋づる式にキーワードを追いかけるだけだと、一見調子よくシナリオが動いているようにみえるが単なる作業であり個人的にはすぐに退屈になる(Accelerator さんの記事の「キーワードを片っ端から全部調べるのが最適解」との指摘のとおり)。

キーワードリンク方式の情報収集を「ゲームの一部」にするのは簡単で、Accelerator さんが書いているようにたとえば時間の制限をつければよい。キーワードは5つ出てきたが3つしか調べる時間が無い、どれを調べよう、とプレイヤに考えさせる。
もしくは、「調べるといかにもやばそうなキーワード」を調べるかどうか、判断させることで「ゲームの一部」として情報収集をシナリオに組み込むことができる。

キーワードリンクについてはこちらを参照。

ブレーキをかけながらアクセルを踏む

「[trpg] シティアドヴェンチャーの作り方」

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