2007/9/23 15:41

[同人誌] 『此花咲哉』

タグ: 同人 TRPG 考察 同人

【タイトル】 此花咲哉
【サークル/執筆者】 儀式回路
【発行時期】2007夏
【URL】 http://g-kairo.sakura.ne.jp / http://gkairo.exblog.jp/
【評価】★★★★★
【紹介者】 氷川 霧霞
【紹介内容】
夏コミの同人誌でもっとも気になっていた『此花咲哉』を読み始めました。まだ読みかけ。
「TRPGでギャルゲを遊ぶ」というテーマで作られたキャンペーンシナリオで,システムは『魔獣の絆』(旧約)を想定しています。

以下では主に,『此花咲哉』で試みられているシステム的な部分に注目してレビューしていこうと思います。

手にしてまず感じるのが,書籍としてのレベルの高さで,まあハードカバーの一般書籍や,前ページフルカラーなんてほんと比べると流石に勝てませんが,オフセット2分冊で,『トーグ』のように箱に2冊入っていて目をひきます……といっても分かる人は少なくなってきてますかね。専門書やDVDのボックスみたいな「箱」です。
200ページ以上のシナリオ本体と,100ページを超すリプレイからなるヴォリュームたっぷりの作品です。

次に肝心の中身の紹介と行きます。
まず一つめの特徴は,シナリオ本体の記述で,シナリオを構成する最小単位である「イベント」が延々書き連ねてあります。
この「イベント」がいくつか合わさっていわゆる「シーン」をなすのですが,具体的にどのようなシーンがあって,その中でどのようなイベントが発生するかはプレイするマスタに委ねられています。ここが,この作品のもっともユニークな部分と言えましょう。
実に200以上のイベントが用意されており,この量も圧巻ですが,そのままでは「イベントを組み合わせてシーンを作れ」と言われてもマスタはとまどうだけでしょうから,いくつかの工夫がなされています。

まずイベントは,ルート(ギャルげーで良くあるやつですね。この作品の中では「イベントクラスター」と呼んでいます)によって分けられています。

そして,各イベントには「レベル」が設定されており,起こす順番が大まかに示されています。1レベルのイベントがだいたい(目安として50-80%)終わったら,2レベルのイベントが発生する,という具合です。
このレベル間のイベントの結びつき(フラグ条件)は,比較的大まかで,イベントクラスターごとに2,3に分かれている程度です。

シーンとイベント

また,イベントの組み立て方については,付属のリプレイが大いに参考になるでしょう。


二つめの特徴が,TIPS と呼ばれるプレイヤに渡される情報の断片の存在です。
特に情報収集に関するイベントをこなしたときに渡すように指示がありますが,TIPSは ルートごとに分かれているだけで,どの TIPS をプレイヤに渡すかは適当です。
つまり情報の断片をつなぎ合わせて真相に近づいていく,という趣向で,『深淵』の「夢歩き」に似ているかと思います。


とりあえず読んだところではここまでです。
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