『脳はあり合わせの材料から生まれた』

科学・技術 公開日: 2009-02-19
科学技術
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あり合わせの材料でその場しのぎに機能するものを作ることをクルージと言うそうです。 そして本書では、脳もそうした自然の所産である、ということが繰り返し繰り返し、述べられています。----記憶、信念、選択、言語。 僕は元々、自分の脳をあまり信用できなくて、覚えたことはすぐにあいまいになって忘れるし、記憶はノイズによって容易に混乱します。情報によって信念はすぐにぐらつくし、推論は誤り多く、選択は後になって後悔します。 が、本書を読むと、もともと信用できなかった脳がさらに信頼できないものであるという事実を次から次へと突きつけられます orz そしてそれは、そもそも脳がありあわせの材料で作られたものだから、というのが本書のテーマです。元々、物事を正確に記憶したり、公平に判断したり、論理的に物事を考えたりといった用途に向いていないのが我々の脳なのです。そういった用途にも使えないこともないし、ほかにいいものが無いので使われている、といったところです。インテリジェントな存在がデザインしたにはあまりにお粗末なものというわけです。 フレーム問題にふだん悩まされないのも、本書が言うように熟考して論理的に判断する新しい脳よりも、ぱっと見でとりあえず判断してしまう古い脳の機能のほうがずっと優勢だからかもしれません。 しかし、中には細かいことを正確に覚えていて、判断は公平・的確で、強い意志を持つ人も実際にいるわけで、どうなっているんでしょうねえ。 さて、本書は、そうした脳の性質について、心理学的な実験を多く引き合いに出しながら次々と暴いていきます。ただそれほど厚い本ではありませんし、広く浅く、といった内容です。紹介されている実験も、多くは以前に聞いたことがあるものでした。でもって、サブタイトルの「それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ」についてはほとんど述べられていません・・・。