2011/6/26 13:06
FEAR シナリオの分析
コミケ用原稿の参考資料にしようと思い、先週 FEAR系(と言っていいのかよくわかりませんが)のシステムのシナリオをいくつか読んでいました。ちなみにまともに遊んだことはないので、あくまでもシナリオを読んでの感想です。読んだのはDX2、 アルシャードガイア、ビーストバインドの各公式シナリオ。
まず感心したのが、シナリオのフォーマットがきちんと統一されている点。もうちょっとシステムによってブレがあるかと思ったのですが、どのシステムのシナリオでも、各シーン、解説・描写・セリフ・結末の四つの要素で記述されています。
今回の僕のコミケでの出し物は、ゲーム的に面白いシナリオを作りましょう、というテーマなのですが、その観点からFEARの各シナリオを見ると……これまたびっくり、全く内容が無い!見事なまでに。唯一、最後の戦闘くらいのものです。それ以外のシーンは何かというと、ひたすらクライマックスシーンにPCたちを向かわせるための動機付けに使われているのです。ちょうど、ビジュアルノベルでエンターキーを押して先に進めていくみたいな感じ。
でまあ原稿の参考には全くならなかったのですが、面白いなとも思いました。なんでこんな作りになっているのか、というのを、断片的に伝え聞くコンセプトと付き合わせると納得いくところが多い。
一つは、「コンベンションなどで事故らない」という方針です。「事故」というのは多分、セッションの途中で詰まってしまったりすることを言うんだと思います。よくありますね、パーティがうまく情報を手に入れられなかったり、PCが「俺そんなの知らないよ」と言い出して進まなくなったり。その点、FEARのシナリオであればシナリオに書かれているとおりふんふんと進めていけばクライマックスまでさらさらと流れていきますし、その途中、くどいくらいにPCの背中を後押しするイベントが発生します。
二つ目は、「短時間、少なくともコンベの時間内で終えることができるシナリオ」という方針です。一時期「最速」とかいう売り文句を聞いたこともあります。1,2時間程度で1シナリオ、1日に数シナリオをこなすといった話も聞きました。TRPGで時間がかかる(というか時間が読めない)部分といえば、プレイヤたちが行動をあーでもないこーでもないと話し合っている部分です。1時間くらい平気で話しますね。「お、決まったか」と思ったら、プレイヤのひとりが「でもやっぱりさ」とか言い出して、議論が振出しに戻ったりすることも日常茶飯事。その点、FEARのシナリオでは悩む部分はありませんから、ひたすらシナリオを進めていくことができます。
三つ目は、リプレイなんかで超展開というか、プレイヤがとんでもない設定を考えだしてシナリオに混ぜ込むことを許容できるという点です。FEARのシナリオでは、PCが何をやろうと、セッションはクライマックスに向かって進んでいきます。クライマックスを除けば、PCの行動とシナリオは相互作用せず、お互いにあまり影響を及ぼしません。だからプレイヤが好き勝手をやっても、クライマックスにたどり着く意思さえ持っていれば、まあ割となんとかなるのでしょう(違う?)。
こうした方向性は、僕の趣味ではないのですが、なかなか潔く面白いなと思います。