シナリオの秘密を考える
基本的な設定を作る
名前を決める
NPCや場所などの名前は、http://myoujijiten.web.fc2.com/akita.htmから選びました。山の中の川沿いの村ということで、山か川にちなんだ名前を探し、村は「佐沢村」、旅館は「木次谷旅館」にしました(旅館は後に、富山県砺波市に多い「但田」に変更)。
登場人物を詰める
当初、一世帯で考えてみたましたが、親戚にしたほうが諍いも作りやすいし話も広がりそうな感じがしたので変更しました。そうなると「遺産相続で揉めて相手を殺してしまった」というのが分かりやすいですね。死んだのは旅館の主人、争ったのはその長女と、長男の嫁ということにします。
そのため、当初の旅館のNPCを、以下のように変更しました。
- 旅館の前主人(故人):国彦
- 国彦の長女:道子
- 国彦の長男:雅弘
- 雅弘の嫁:和美
- 雅弘の娘:涼子
シナリオの「秘密」を作る
登場人物が決まってきたので、その「秘密」を考え始めます。作業的には、やはりこのシナリオ(登場人物)の「秘密」を作る作業が一番時間がかかりました。
最初に、おおまかに「秘密」の一覧と、それらがどのようにリンクしているかを図にしてみます。その図を元にして、ここまでで決めていた登場NPCと、蔵の秘密を作りこみます。作りながらも、リンクを変えたり、他の秘密を修正したりします。
たとえば、 旅館の連中は人形に乗っ取られてあまり話が通じないため、状況の解説役として村人を一人追加しました。また、雪崩で道が封鎖されたことを伝える役割もこの人物に担ってもらうことにします。
また、図にして作っていくと、(原作に従って)蔵には中核となるキーワードがたくさん集中しており、棺、死体、首吊り人形、宝などがあるのですが、これはあまり良くない(蔵を調査すると一気にたくさんのことが判明する)ため、蔵を二つに分け、キーワードを小出しにしました。
さらに、PC4の「使命」を蔵の確認にしたため、いきなり行かれてはすぐ終わってしまうため、「鍵」を用意し、それを手に入れるというステップを追加しました。
原因を作る
原作では原因は、主人公に度々ちょっかい(扱いにしくじると死ぬちょっかいだけど)をかけてくるトリックスターみたいな妖怪の仕業ということになってますが、単発のシナリオでは使いづらい原因といえます。プレイヤからすると「は?」となるんじゃないかと思われます。
どうやって人形が呪いの力を手に入れたかは当初、「供養されず放置されたため」でいいかと漠然と考えていたのですが、もうちょっとシナリオに「人形」を散りばめようと人形の怪異を調べていくうちに「人形神(ヒンナガミ、コチョボ)」という怪異を見つけまして、これが殺人を引き起こした諍いの原因であり、かつ人形に呪いの力を与えたことにしました。
これは富山県砺波市に伝わる怪異なので、旅館の名前も砺波市に多い「但田」に変更し、祖先が砺波市からこの地に移住してきた時に一緒に持ち込んだ(そして忘れ去られた)呪物という設定にしました。
解決方法を考える
原作の解決方法はこれまたちゃぶ台返しみたいな「なんじゃこりゃ」って解決法なので(笑)、別の方法を考える必要がありました。
今回は「人形」の怪異なので、「流し雛」か「お焚き上げ」の儀式が妥当なところでしょう(「人形供養」で検索すると出てきます)。PCたちの手で解決することを考えると、儀式のやり方は知らないだろうし、見よう見まねで解決できる方法が望ましいといえます。そこで、解決方法は「流し雛」で人形を流し、厄を払う方法とし、クライマックスを三月三日(雛祭り)にもってきて、村のあちこちで流し雛が行われる、というのをヒントとして伝えることにしました。
ただ、これはプレイヤが思いつかないとそこで終わってしまいます。それでも構わないとも思いますが、今回は『インセイン』初めてのプレイヤたちが相手ということでキーワードをたどる中で解決方法を提示するNPCを設定することにします。地道にキーワードをたどっていけば解決できるというわけです。
これは一長一短で、ホラーの「逃げ場のなさ」を損ない、プレイヤには「そのNPCに丸投げすればいいや」という依存心を引き起こす危険性があります。
このあたりまで決めて、シナリオに登場する要素とリンクはほぼ出揃いましたので、あとは整合性をチェックしながら、整えていきます……というようにスッキリ作れたわけではなく、最後まで決まらずグダグダ残ったのが、
- PC5の使命と秘密
- 人形神の能力・由来
- 長女のシナリオでの行動
あたりでした。時間が無くなって、ええっいっと最後は決めました ^ ^;;