2014/1/10 14:32
『ゲームメカニクス』(2)創発型と進行型
ソフトバンククリエイティブ
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『ゲームメカニクス -- 面白くするためのゲームデザイン』は、2013年4月に和訳された書籍で、ゲーム全般の仕組みについて分析し、面白いゲームをデザインするための理論を提供しています。
友人がバンダイナムコスタジオにいて本書の監修に関わっていたので購入し、そのためコンピュータゲーム関連のデザインの本かと思っていたのですが、実はそんなことはなくボードゲームやカードゲームなど、ゲーム全般のデザインに関する本でした。
非常に面白そうなトピックが並んでいますので、少しずつ読み進め、内容をメモしていこうかと思います。僕は主にTRPGを遊びデザインするので、TRPG に当てはめた場合のコメントも付記していきます。
今回は第2章。この辺りはまだ概念の整理が中心です。
創発型と進行型
ゲームは大きく、「進行型ゲーム」と「創発型ゲーム」に分類される。
5種類のメカニクスのうち、進行メカニクスが生み出すゲームが「進行型ゲーム」で、それ以外のメカニクス(物理、内部経済、戦術的な操作、社会的インタラクション)が生み出すゲームが「創発型ゲーム」である。
大雑把に言うと、「進行型ゲーム」は、ゲームデザイナによって入念に事前設計された、RPGやアドベンチャゲームを代表とするコンピュータゲーム、「創発型ゲーム」はそれ以外のゲームで、少数のルールから多様な展開が生まれるゲームとなる。ボードゲームなどはほぼこちら。
ボードゲームなどでは、進行型ゲームを成立させるだけの膨大なルールを書ききれない(仮に書ききったとしても遊ぶほうが覚えきれない)ため、コンピュータに処理させないと無理ってことだが、じゃあTRPGはどうかというと、だいたい進行型ゲームに分類されるんではないか。ルールに書ききれない分は、裁定役であるマスターが処理することで進行型ゲームとして成立している。
創発型ゲーム
「創発」というのがそもそも聞き慣れないかもしれないが、複雑系科学では最も基本的なキーワードの一つ。ここでは、単純なルールから数えきれないほどの複雑な展開・状態を生じさせるものを「創発」と呼んでいる。例えば囲碁のルールはごく限られたものだが、二つと同じ対局がないほどの多様な展開を見せる。
例として、三目並べと Connect Four, シヴィライゼーションが挙げられている。
進行型ゲーム
プレイヤーがゲーム内を移動する方法を、ゲームデザイナが様々なメカニクスで制御しているゲームが進行型のゲームで、レベルによる移動制限(強力なモンスターがうろついていて入ると殺される)、「鍵」となるアイテムや情報がないと進めない場所などがその代表例となる。
例として「ハーフライフ」と「ゼルダの伝説」が紹介されている。
創発型と進行型の結合
多くのゲーム(たぶんコンピュータゲーム?)は、創発型と進行型の双方の特徴を備える。しかし、これらの二つの型はゲーム内で交互に現れるものであり、同時に体験できるような形で統合できているゲームは稀。
例として、StarCraft と StarCraft2 が紹介されている。2では、創発型のゲームと進行型のゲームがずっと巧みに統合されている。