2005/12/7 11:11

デカルトの密室

タグ: 作品 科学技術

デカルトの密室

瀬名秀明の『デカルトの密室』を読み終えました。寝る前にちまちまと読み続けて2週間くらいかかりました。非常に面白い。笠井 潔の矢吹カケルのシリーズと似た雰囲気だと感じました。

タイトルが「密室」ですし殺人もありますが,いわゆるミステリィのように犯人探しをしたりトリックを見破ったり,というのはあまりありません。
ジャンルで言えば,SFでしょう。SFというとかつては未来の話と相場が決まっていましたが,今では現在を扱っても十分 SF になりうる時代になったわけです。

ロボットをテーマにした小説で,したがって脳・心,そして人間に密接に関わっています。

作者は『パラサイト・イブ』で有名ですが,今は人工知能やロボットに関心を移しているようで,「けいはんな社会的知能発生学研究会」というロボット研究者の集まりにも参加しているようです。昔紹介したブルーバックスの『知能の謎』でも執筆しています。こちらも面白い。

ロボット研究の現状を小説にして読者に紹介しちゃおうという感じで,フレーム問題,チューリングテストといった古典的な問題から,知能とは何か,何故意識は……あまりしゃべっちゃまずいですね。ええっと,一通りの概観を得ることもできるようになっています。
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