中世の城に関する資料

TRPG kilica 2016/6/5

ただいま夏コミ新刊『TRPGシナリオ作成大全 Vol.7』向けの記事「拠点防衛型シナリオ」を書いているのですが、その資料としてこれまでに買いだめた城(特に攻城戦)に関する本を読んでいます。そのご紹介。

中世ヨーロッパの城塞

一冊選ぶとするとこれでしょうか。

中世ヨーロッパの城塞: 攻防戦の舞台となった中世の城塞、要塞、および城壁都市

ヨーロッパ古城物語

これも有名なシリーズですね。

ヨーロッパ古城物語 (「知の再発見」双書)

歴史的古城を読み解く

あまり知られていない本だと思いますが、特に城のパーツ(門・塔・跳ね橋・胸壁etc.)について知りたい場合は必携。イラストも多く、分かりやすい。

歴史的古城を読み解く

「知」のビジュアル百科 古城事典

写真・図版がふんだんに使われていて見ているだけで楽しいです。

古城事典 (「知」のビジュアル百科)

ご存じ Truth in Fantasy シリーズ。色々な時代、地域の城が紹介されています。

多くの城について、平面図と外観のイラストが一緒についていて、平面図を見ただけでは想像できない僕には便利。

城 (Truth In Fantasy)

insiders/ビジュアル博物館 騎士とお城

これは持ってません。存在自体知らなかったけど、面白そうなので買ってみようかと思ってます。

insiders/ビジュアル博物館 騎士とお城 (図鑑)

図説中世ヨーロッパ武器・防具・戦術百科

図説中世ヨーロッパ武器・防具・戦術百科

戦闘技術の歴史 2 中世編

戦闘技術の歴史 2 中世編 AD500-AD1500

中世ヨーロッパの城の生活

どちらかと言うと城での生活に重点が置かれています(それはそれで非常に面白い)。

中世ヨーロッパの城の生活 (講談社学術文庫)

中世への旅 騎士と城

中世への旅 騎士と城 (白水uブックス)

ヨーロッパものしり紀行 《城と中世都市》編

入門書ですが意外と良いです。

ヨーロッパものしり紀行 城と中世都市編 (新潮文庫)

『オリヴァー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史』

一般 kilica 2016/3/6

第2次世界大戦辺りからのアメリカ合衆国の紛争への関わりと大統領の決断を批判的に書いたものです。文庫本、400ページくらいのが3冊もありますが、面白いので集中して読めます。

アメリカ合衆国というと、民主主義、自由主義の擁護者という顔と、横暴な帝国としての顔の2つがありフィクションではしばしば後者として描かれたりするんですが、本書ではそうしたフィクション作品で描かれる悪の帝国像も可愛く見えるくらい、諸悪の根源として描かれ、その行動が逐一にあげられています。

キューバを始めとした中南米、ベトナム、イラン、イラク、ソ連などなど、枚挙に暇がありません。フィクションでそうした国家を書きたいという方には非常に参考になるでしょう。ただそのまま写すと読者からは、重大な事案に対してこんなに安直でずさんな決定をするなんて現実味に欠ける、というツッコミを受けるかもしれません。

敵を(勝手に)設定して叩く、というのがアメリカ合衆国の基本的な行動原理なんだな、というのが読後の感想です。

もう一つの感想は、よく戦後、核兵器を使わずに済んだな、と思いました。核兵器使用の決定権が結構下の方まで降りていて、あいつらぶっ潰すのにじゃんじゃん使え、みたいな恐ろしい状況にあったようです。中南米でも、ベトナムでも、朝鮮でも、絶えず核兵器仕様のオプションは検討されていたと本書では書かれています。

そしてもっと言えば、……よく核戦争で世界が滅ぼなかったな、と思います。

A Year in a Castle

一般 kilica 2013/10/26

 Amazon.com で沢山、中世やお城の本を買ったので適当にレビュー。主に、薄くて絵がたくさんついてるのを選びました。

A Year in a Castle

いま検索したらこれは日本のアマゾンにもありました orz 大して値段も変わらないので、こっちにしておけばよかった。


おしろのいちねん (いちにちといちねん絵本)
オリビア・ブルックス
学研マーケティング
売り上げランキング: 927,541

タイトルの通りで、城のある年の一年を月ごとに描いた絵本です(ときどき抜けている月があります)。3月には市場、4月にトーナメント、7月に戦争など、なかなか忙しくイベントが詰まっています。

見開きでその月のある場面を描いているのですが、すべて同じ位置から同じ角度で見下ろした城が描かれているので、月ごとの比較が簡単にできるよう工夫されてます(イラスト料を抑える工夫にもなってるのでしょう)。

見開きの中には、兵士や料理人、司祭、囚人などのお城にいる人がぎっしりと書き込まれていて、「3月に見かけたあの人は今いずこ」と探すのもまた面白いです。まあ絵本なので子供向けに作られてますね。

『テルマエ・ロマエ』映画化

一般 kilica 2011/3/31

なんと『テルマエ・ロマエ』映画化だそうです。

それはそうと、平野耕太が『ROME』のスタッフが関わるとか書いていたので Amazon 行って、『ROME』を調べてみました(見てない作品だったので)。

そしたら評価は満点近く、全22話と圧巻のボリューム、そしてなんと、前編後編合わせて3,000円以下という謎な数字にくらくら来てぽちっとボタンを押しました。

ROME [ローマ] 〈前編〉 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2009-08-12)
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ROME [ローマ] 〈後編〉 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2009-08-12)
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『戦国の家』

一般 kilica 2011/1/6

今回コミケで新たに見つけたのがサークル「失われたまんりき王朝」の『図説 戦国の家』と『戦国時代武家居館の復元 1 -資料編-』です。どちらも戦国時代の建築を写真をふんだんに使って解説してくれています。この写真を眺めているだけでわくわくしてきます。

『戦国の家』の方は復元されたものも含めて、現在見ることのできる当時の建築を紹介しています。取り上げられているのは田峯城主殿、今西家書院、篠山城大書院、箱木家住宅、古井家住宅、一乗谷遺跡です。

田峯城は近いし、雪の心配がなさそうならそのうち行ってみたいなあ・・・って御殿が貸し切りできるらしい。しかも半日1260円ってなんつー安さ。

『戦国時代の武家居館の復元』は、資料をもとに「ありそうな武家居館」をコンピュータグラフィクスで再現しようという試みの第一歩で、元となる資料を集めてまとめたものです。完成が楽しみです。

『西洋コスチューム大全』

一般 kilica 2010/9/5
西洋コスチューム大全―古代エジプトから20世紀のファッションまで
ジョン ピーコック
グラフィック社
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古代エジプトから現代ヨーロッパまで、衣装のイラストがフルカラーでふんだんに載っています。本当にたくさんの種類の衣装が載っているので、資料としてはおすすめです。 例えば、1430年頃のイギリスの領主だと、「短く刈り込んだ頭髪。黒いベルベットの襟。毛皮で縁どった、黄色と黒の柄入りブロケードのチュニック、白いソールドホーズ」といった簡単な解説が付いているので、ああ、なるほど、チュニックというのはこういうのを言うのだ、というのもわかります。 むかし本書はハードカバーで出ていて、僕はそちらを持っているのですが、今回ソフトカバーとなりお求めやすい価格になっています。どうせすぐ絶版になるでしょうから、今すぐ上のリンクをクリックして買うといいでしょう。

『中世ヨーロッパの服装』

一般 kilica 2010/5/1
中世ヨーロッパの服装 (マールカラー文庫)
オーギュスト ラシネ
マール社
売り上げランキング: 2744
服飾や装飾の美麗なカラー図版本を出しているマール社の新刊で、今回出たのはまるごと一冊中世ヨーロッパの服装の本。 いま値段を見て驚きましたが、税別 291 円です。文庫サイズで小さいとは言え、全ページフルカラーでこの値段ってどういう事でしょうか。800円くらいかと思っていた……。

『武装事典』

一般 kilica 2010/1/9
武装事典
武装事典
posted with amazlet at 10.01.09
新實 五穂
誠文堂新光社
売り上げランキング: 69475
おすすめ度の平均: 5.0
5 必携書
たまたま書店で手にとった本。表紙が末弥氏のイラストなので、ゲームに出てくる武具の解説かいなと思ったのですが、中身はちゃんとした史実ベースの武装イラスト集でした。 ギリシアの重装歩兵、サクソン人の兵士、パリ民兵団歩兵などなど、1ページ1枚のイラストを中心に、解説がついています。著者は服飾史専門の方だそうで、武装部位の名称(肘あて、鎖垂れ、腰帯、鎧下etc)が示されています。 中世あたりのイラストを見ると、なんか変わったポーズだなと思ったのですが、タペストリや写本の挿絵などに描かれた兵士をイラストに起こしていたからでした。

『テルマエ・ロマエ』

一般 kilica 2009/11/27
テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)
ヤマザキマリ
エンターブレイン
古代ローマの浴場設計技師ルシウスの物語。と書くと格好よさそうですが、実際13ページ目までは「おお、古代ローマ!」って感じの漫画でなかなか、なのですが、14ページ目で突如、現代日本の銭湯にタイプスリップするという愚かな展開。 戸惑い驚きつつも、新しい浴場設計のアイディアに詰まっていたルシウスは日本の銭湯にヒントを得ます。そうこうしているうちになぜかまたローマに戻って・・・というのが毎話のお決まりの流れになっています。 さて、当然日本人のことなど知らないルシウスが日本人を見てつけた名前が「平たい顔族」。確かに、ローマ人のネーミングっぽい気がする。

about 「ウォーゲームを製作する歴史学の講義」

一般 kilica 2009/11/26
Thorn 「ウォーゲームを製作する歴史学の講義」 興味を引かれる研究です。近代の外交や戦争の歴史を教科書で習っていると「なんて馬鹿なんだろう」と思ったりもしますが、『ディプロマシー』とかやると身に染みて理解できますね(^ ^;。 さて、ウォーゲームとはややずれますが、『日経サイエンス』2006年1月号に「バーチャル考古学 シミュレーションで迫る古代社会」という記事が載ってまして、そこでは数百年にわたりプエブロ族の世帯推移をシミュレーションで再現し、考古学的な発掘結果と比較した研究が紹介されています。これもすごい興味深い。 このシミュレーションでは、家族を単位とするエージェントに振る舞いと属性値を与え、環境変数を設定して、どう増減していくか、どのような土地に広がっていくか、といった点を追っています。たぶん、シムシティを思い浮かべればいいんだと思う。 もちろんこうしたシミュレーション結果が、歴史学(考古学)において史料として採用されることはありえません。とはいえ無価値というわけではなく、現実を模して作られたシミュレーションの結果と、現実との差が出れば、それは何らかの要因を見逃しているか、過大評価しているか、過小評価しているということです。自分の認識を検討しなおす、よいきっかけになります。 また、シミュレーションを作ること自体、「自分がわかっていないこと」をはっきりとあぶりだしてくれます。 Thorn さんが紹介されていた講義も、それが大きな目的なんだろうと思います。 自律型のロボットを作るのと同じですね。

英語版?日本語版比較

一般 kilica 2009/11/6
Battle: A Visual Journey Through 5,000 Years of Combat
R. G. Grant
Dk Pub (P) (a)
売り上げランキング: 32405
戦争の世界史 大図鑑
戦争の世界史 大図鑑
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R・G・グラント
河出書房新社
売り上げランキング: 221285
おすすめ度の平均: 4.5
4 兵器の歴史
5 充実の内容!
アフィリエイト経由でどなたか買ってくれたので見てみたんですが、日英ですごい価格差だ(笑)。

『戦闘技術の歴史 中世編』

一般 kilica 2009/10/25
戦闘技術の歴史 2 中世編 AD500-AD1500
マシュー・ベネット ジム・ブラッドベリー ケリー・デヴリース イアン・ディッキー フィリス・G・ジェスティス
創元社
売り上げランキング: 1515
1巻(古代編)が売れなくて出ないかなーとか思っていたのですが出ました。

『修道女フィデルマの英知』

一般 kilica 2009/7/2
修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集 (創元推理文庫)
ピーター・トレメイン
東京創元社
売り上げランキング: 21475
7世紀アイルランドを舞台にしたマニアックな推理小説シリーズの短編集。「聖餐式の毒杯」「ホロフェルネスの幕舎」「旅籠の幽霊」「大王の剣」「大王廟の悲鳴」の5編が収められています。 通勤中に読んでいたんだですが、「あと5ページで読み終わる、ってところで到着」というのを5回繰り返しておりました。 主人公、探偵役は修道女フィデルマ。ただし、王女で高位法官、弁護士でもある完璧超人です。 7世紀アイルランドで、この法律家の地位が非常に高く、敬意を払われている様が描写されていますが、本当かいなーと気にはなります。

『地図を旅する 永遠の都ローマ物語』

一般 kilica 2009/4/11
永遠の都ローマ物語―地図を旅する
ジル シャイエ
西村書店
売り上げランキング: 1809
これはすごい。 昨日帰りが遅かったので普段寄らない本屋によってたまたま目にしたのですが、とりあえず手にとって適当に開いたところで「これは買うしか」と思いました。そこには、古代ローマの街並みのイラストがカラーで描かれていました。一軒一軒、詳細に、びっしりとページを埋め尽くすように。 そしてページをめくっても、めくっても、そうした街並みのイラストが続きます。カラカラ浴場、アウェンティヌス丘、トラステヴェレ、コロッセウム・・・。 どきどきしながら本を閉じ、裏表紙を見ます。さあいくらか。いくらまでなら出そうか。4800円くらいならなんとか。でも全ページカラーだし、D&Dサプリ並みか。FRCG並み、それ以上という可能性も、と定価を見ると、……「2,800円+税」。 なんでしょうね。この値段は。A4全ページカラー、ハードカバーでアリエナイ。ゲーム攻略本じゃないんだから。もちろん、お持ち帰りしました(^ ^)。 さて、帰って落ち着いてみてみると、本書は4世紀初(314年)のローマを再現しており、本全体としては、フラウィウスというその時代の人物がローマを訪れ、ローマ各所を診て回ったときの手記という、これまた面白そうな体裁をとっています。この見聞録的な文章と、最大の売りである街の地図のイラストと、現在の写真から本書は成り立っています。 素晴らしい本です。ローマに興味があるか、ヨーロッパの地図や街が好きか、歴史に興味があるか、それ以外。このいずれかにあてはまる人であれば文句無くお奨めです。 今すぐ、アマゾンへのリンクをクリックするか、本屋でぜひ一度手にとって見てください。

『大聖堂 果てしなき世界』

一般 kilica 2009/3/14
大聖堂―果てしなき世界 (上) (ソフトバンク文庫 フ 3-4)
ケン・フォレット
ソフトバンククリエイティブ
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大聖堂―果てしなき世界 (中) (ソフトバンク文庫 フ 3-5)
ケン・フォレット
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 684
大聖堂―果てしなき世界 (下) (ソフトバンク文庫 フ 3-6)
ケン・フォレット
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 727
『大聖堂』から18年(だそうです)、出るとは思っていなかったのですが、続編、日本語訳がついに出ました。 主な舞台は前作と同じキングスブリッジですが、登場人物はすべて変わっています。時代が14世紀、前作から200年ほど経っているので当たり前ですが。ただ、前作の登場人物の子孫がぞろぞろと出てきているようです。 読むのがたのしみです。
大聖堂 (上) (SB文庫)
大聖堂 (上) (SB文庫)
posted with amazlet at 09.03.14
ケン・フォレット
ソフトバンク クリエイティブ
売り上げランキング: 1959
おすすめ度の平均: 5.0
5 傑作
5 中世ヨーロッパが舞台の大抒情詩です!
5 それぞれの大聖堂
5 これは映画になる
5 大聖堂建設のドラマが目に浮かぶようです

『黒のトイフェル』

一般 kilica 2009/2/13
黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)
フランク シェッツィング
早川書房
売り上げランキング: 25479
黒のトイフェル 下 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-5)
フランク・シェッツィング
早川書房
売り上げランキング: 25022
13世紀ドイツ ケルンを舞台にした陰謀劇を描いた作品で、著者は『深海のYrr』のフランク=シェッツィング。 まだ6割くらい読んだところなんだけど、やや展開がたるいのと、登場人物にあまり魅力が感じられないので、まあ読んでもいいんじゃない、くらいの評価。

Castle Tintagel

一般 kilica 2009/1/24
キャッスル ティンタジェル むかし何かで見たような気もしますが。
ここはさまざまな時代の面白そうな文化や、習慣、スポーツを、楽しみながら学ぶところです。 中世ヨーロッパの剣術、クラフト、ダンス、語学、演劇、コスチューム・・・などな ど、面白くてユニークな講座を開催しております。
だそうです。 「語学」はラテン語とかあるのかなと思ったのですが普通に英語やドイツ語みたい。 今回見たのは、MSNのトップページで「先生の大技拝見」という「スキルアップ特集」(いろいろなレッスンの紹介特集らしい)に出ていて引っ張られたのですが、もうちょっと載せるものが他にあるんではなかろうか。 一応仮にも大手ポータルサイトのトップページなんだし。まあ僕はうれしいけど。

Artes Liberales

一般 kilica 2008/12/21
玄兎さんが、「[Column] TRPG の教育効果」と題して、自由七科(Artes Liberales)を取り上げられています。 art & academe 元の文脈はまったく無視して(笑)、この自由七科について書いてみましょう。 というのも、中世ヨーロッパを舞台にした Ars Magica には、そのまま Artes Liberales という技能が存在するのです。 そして、基本ルールブックでは1/3ページほどの比較的簡素な説明が付されていますが、サプリメント "Art & Academe" では、なんと8ページにわたってこの Artes Liberales が解説されています。 以下では、このサプリメントを元に簡単にご紹介しましょう。 なお、Ars Magica のサプリメントですので、中世ヨーロッパ時代における自由七科の在りようが書かれています。古代ローマ時代の自由七科と同じというわけではありません。 Grammar 学問を志す若者がはじめに学ぶ教科で、読み書きおよび古典古代の文学がその中心となっています。 しかし12世紀末にはそうした古典古代の名著ではなく、ラテン詩を元に構成した教本が人気を博し、広まり始めます。 Rhetoric 議論を説得的に展開するために事実を適切に並べ文章を工夫する技術です。 ギリシア・ローマ時代には七科の中でも特別な位置づけになっており、弁論を生業にする元老院議員や法律家に重用されてきました。 しかし中世にはそのうち政治的な意味合いが薄れ、公文書をしたため、あるいは学者が口頭で議論する際の基盤となる技術という位置づけに変化していました。 手紙、遺言、相続、教皇による布告、往復書簡、土地台帳などの文書で使われました。 Logic 明らかになっている真実を元に正しい論理を構築し、誤った推論と正しい推論とを見分けるための技術です。 演繹と因果論に加え、定義、範疇論、同音異義語なども含みました。 Logic は、演繹などの推論を現実の課題に適用するための Formal Logic(形式論理学)と、物理学・形而上学上の課題を正しく検討するために使う Theoretical Logic に分かれますが、後者は哲学・神学で扱い、自由七科では扱いません。 Arithmetic 四課の他の科の基盤となるため一段上に見られていたのが Arithmetics です。 基本ルールのほうでは、四則演算のこととのみ書かれていますが、"Art and Academe" では整数論(6が完全数だとかいうやつ)についても触れられています。 Music 比率、音程、リズムを数学的、理論的に分析する学問です。楽器の演奏や歌の技術ではありません。 Geometry 線分、角度、図形、体積、面積などを扱います。 証明や距離の計測のための理論幾何、体積・面積を計算する実践幾何、物を作るときに職人が使う構造幾何の三種類がありますが、最後のは学問教育では無視されています。 Astronomy 天文学で、惑星と恒星に関する学問です。 以上です。 え?はい。最後のほうは疲れてきました(笑)

『中世世界とは何か』

一般 kilica 2008/12/6
中世世界とは何か (ヨーロッパの中世)
佐藤 彰一
岩波書店
売り上げランキング: 20520
しばらく歴史関係の本からは遠ざかっていて、久々の読書。 「ヨーロッパの中世」という新しいシリーズの第一弾。2巻以降は、タイトルを見るにテーマが絞られているようですが、この『中世世界とは何か』は概説的な内容を扱っています。 ただし通説的な歴史記述からは離れ、最新の研究成果を引きながら研究者の間で議論になっているポイントを示し、一般的な読者層ではなく研究を志す人々に向けた内容になっています。やや難しいかもしれませんが、歴史研究に興味を持つ高校生なんかに読んで欲しい一冊です。 とりわけ著者の専門である中世初期については、積極的に、時には攻撃的とも思えるほどの新しい中世世界の描像を提示しており、歴史研究の面白さが読者に伝わってきます。 Rune Quest のサーターの部族のありようについて歴史上のモデルを探したい人にもいいかも。 序章 「中世」を切り出す 第一章 小国家の時代  1 民族集団の生成  2 ポスト・ローマ国家の独自性  3 地代と租税  4 領主と農民の共生  5 覇権国家カロリング朝のパラドックス 第二章 中世ヨーロッパ・システムの生成と展開  1 定住空間の変容  2 交換活動の発展  3 中世法の論理と社会秩序  4 支配の原理として封建制は機能したか  5 騎士と傭兵 第三章 統治と政治秩序の体系  1 帝国と王国  2 王権の変遷  3 統治空間の編成原理  4 俗権と教権の長い対話 第四章 碧き血統----ヨーロッパ貴族の歴史的変遷  1 フランク貴族の相貌  2 中世貴族の誕生  3 身分制の貴族へ 第五章 規律と恩寵----修道制の多様な界面  1 禁欲の心性  2 支配の類型としての修道制  3 中世キリスト教学の増殖炉  4 霊性と奇跡の空間  5 修道士と異端 おわりに ----ヨーロッパ世界と中世

『アルカサル 王城』(13)

一般 kilica 2007/9/17
未完のまま終わってしまうんじゃないかと危惧していましたが,ついに最終巻13巻が発売になりました。13年ぶりらしい。 だいぶん駆け足の構成になっています。ドン・ペドロの最期は分かっているのですが,ロペスやロドリゲスら家臣たちの行く末が気になっていました。その部分もきっちり書かれていて満足です。 物語は全編を通じて裏切りに次ぐ裏切りで,忠実な家臣というのがいかに貴重で得難いものだったかというのがよ〜く分かります。ましてや,それが有能だというのであればなおのことです。