敵の増加と処理時間
シナリオを作る上で、時間の見積もりは重要な課題の一つです。特に単発のセッションでは、どんなにすごいシナリオでも時間内に終わらなければその良さの半分も出せないでしょう。
ところがこれが難問で、「こうすればOK」のような銀の弾は存在しません。せめて「こういうシナリオ(の要素)は時間を食う可能性がある」というのを地道に積み上げているのですが、本記事もそうした試みの一つです。
おおよそ、シナリオのある要素の数を2倍にすると、それを処理するのに要する時間も2倍になります。例えば、シーンの数を2倍にすると、時間も2倍になります(一つのシーンの長さは概ね同じと仮定)。ところが、中にはある要素の数を2倍にすると処理するのに要する時間がそれ以上に増えるような要素もあるかもしれません。そのような要素には、注意が必要です。
今回取り上げるのは、「敵の数」を倍にすると処理時間はどうなるか、という命題です。
次のようなモデルで考えてみます。
- PC4人は、1ラウンドあたり1体の敵を倒せる
- PCは十分強いので、敵の攻撃で死んだり行動不能になったりすることはない
- 敵は全滅するまで戦う
- 敵が先行
敵が4体の場合
毎ラウンド1体倒されるので、敵の数の変化は 4→3→2→1→0
敵を全滅させるのに4ラウンドかかるので、
- PCの行動処理数:4(人)×4(ラウンド)=16
- 敵の行動処理数:4+3+2+1=10
- 合計処理数:16+10=26
敵が8体の場合
毎ラウンド1体倒されるので、敵の数の変化は 8→7→6→5→4→3→2→1→0
敵を全滅させるのに8ラウンドかかるので、
- PCの行動処理数:4(人)×8(ラウンド)=32
- 敵の行動処理数:8+7+6+5+4+3+2+1=36
- 合計処理数:32+36=68
ということで、このモデルでは敵が4→8の2倍に増えると、処理時間(数)は26→68と、約2.6倍に増えます。
これは、数とラウンドの両方に敵の数が影響するためです。
このように、敵の数を増やすと、その倍数以上に時間がかかる可能性があるので注意が必要です。